
兵庫県の斎藤元彦知事らを巡る複数の疑惑が文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)の奥谷謙一委員長は4日の記者会見で、「(斎藤氏)は結果をしっかり受け止め、リーダーとして厳正に身を処していってもらいたい」と述べた。百条委の調査結果は法的な拘束力がなく、斎藤氏が今後どのように対応するか注目される。
奥谷氏は「元局長の告発文は事実無根でもないし、うそ八百でもなかったというのが我々の調査結果だ」とも語った。
百条委はこの日、最終報告書を公表した。5日に県議会に提出する。
報告書は斎藤氏らが告発者捜しをしたうえで、懲戒処分したことについて「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」と指摘。県の対応について「客観性、公平性を欠いている。行政機関の行うべき対応としては大きな問題があったと断ぜざるを得ない」と指弾した。
奥谷氏は「知事や県当局は文書問題について問題がなかったという認識だが、今一度振り返ってもらって検証してもらいたい」と話した。
一方、SNS(ネット交流サービス)などでは百条委委員に対する真偽不明の情報や誹謗(ひぼう)中傷が今も続いている。1月には委員だった竹内英明元県議が亡くなった。
奥谷氏は「竹内議員を失ってしまったことは痛恨の極み。元局長が名誉毀損される状況が続いているのは本当に心苦しいし、残念に思っている」とした上で、「我々は告発者を守る、健全な不正のない社会をつくっていくということで取り組んできた。公益通報制度が課題として取り上げられ、国で法改正につながったという点で百条委の果たした役割は非常に大きかった」と振り返った。
一連の問題は元県西播磨県民局長が2024年3月、パワハラや贈答品の「おねだり」を含む七つの疑惑を示した告発文書を一部の報道機関や県議に匿名で配布したことで発覚した。間もなく、県は内部調査で告発者を特定した。
県議会は6月、51年ぶりに百条委を設置。委員らが、証人として出頭を要請した斎藤氏らに質問する形で疑惑の真相究明を進めてきた。【砂押健太、大坪菜々美】