
兵庫県の斎藤元彦知事らがパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、県が設置した第三者調査委員会(委員長、藤本久俊弁護士)が19日に公表した報告書は、県議会調査特別委員会(百条委)の調査結果に向き合わない斎藤氏の姿勢を批判した。
3月にまとまった百条委の報告書は、斎藤氏の県職員への叱責が「パワハラと言っても過言ではない」と指摘。告発者を特定・公表し、懲戒処分とした斎藤氏ら県の対応は「告発者潰しと捉えられかねない不適切な対応だった」と問題視した。
これに対し、斎藤氏は記者会見で「一つの見解だ」「違法の可能性があるということは適法の可能性もある」などと開き直るような発言を繰り返し、調査結果を全面的に受け入れない姿勢を示した。さらに告発した元県西播磨県民局長の公用パソコンの中身に触れ、「倫理上極めて問題がある文書だった」などとも言及した。
第三者委は斎藤氏のこうした態度に触れ、「(百条委の)報告書を正面から受けとめる姿勢を示していない」と非難。組織のトップは自分とは違う見方もありうるとの多角的な視点や姿勢を持つべきだと諭した上で、「組織の幹部は感情をコントロールし、特に公式の場では、人を傷つける発言、事態を混乱させるような発言は慎むべきだ」と指摘した。
告発文は元局長の男性が2024年3月、匿名で一部の報道機関や県議に配布。斎藤氏らのパワハラを含む七つの疑惑を訴える内容だった。
斎藤氏は直後に開かれた27日の定例記者会見で、告発者が元局長であると明らかにして解任した。元局長は5月に停職3カ月の懲戒処分に。百条委に証人として出席予定だったが、7月に死亡が確認された。自殺とみられる。
第三者委は県弁護士会が推薦した裁判官出身の弁護士3人で構成。百条委と同様に七つの疑惑と、公益通報としての県の対応の妥当性について調査してきた。【山田麻未】