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原子力規制委、発足10年=基準厳格化、もんじゅ廃炉で存在感―運転延長、処理水など批判も


 原子力規制委員会は19日、発足から10年を迎える。東京電力福島第1原発事故を防げず、「規制のとりこ」とまで酷評された旧規制当局の反省を基に出発した規制委。厳格化された新規制基準に基づく審査や、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)の廃炉につながった勧告権の行使などで存在感を示した。これまで10基が再稼働したが、9年以上たっても審査が終わらないケースもあるなど長期化も目立つ。  規制委の発足は民主党政権下の2012年9月。福島県出身で、元日本原子力研究所副理事長だった田中俊一氏が初代委員長に就任した。13年7月には、重大事故対策の義務付けや、地震・津波想定の厳格化などを盛り込んだ新規制基準に基づく審査を開始。電力会社側の地震・津波想定は軒並み引き上げられ、九州電力川内原発1号機が初めて再稼働するまで、2年余りを要した。  15年11月、多数の点検漏れなどが相次いだもんじゅを運営する日本原子力研究開発機構について、「運転する資質がない」として、文部科学相に運営主体の交代を勧告。もんじゅは翌年12月、廃炉に追い込まれた。  規制厳格化による安全対策費用の増大で、規制委発足後に再稼働をあきらめ、廃炉となった原発は15基(福島第1を除く)に達した。一方、「極めて例外的」(細野豪志・原発事故担当相=当時=)とされた、運転開始から40年超の老朽原発の審査では、申請された4基すべての20年延長が認められた。また、福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出には早期から理解を示すなど、「脱原発」の立場からは批判も受けた。  透明性を重視するあまり、電力会社とのコミュニケーションが不足しているとの指摘も受けた。14年からは、各社の経営陣と公開で意見交換を重ねるなどの模索も続く。  間もなく更田豊志委員長が任期を終え、発足時の委員はいなくなる。電力需給の逼迫(ひっぱく)などを背景に、政府や経済界の再稼働圧力が強まる中、科学的判断のみに依拠して「人と環境を守る」(規制委の組織理念)、発足当初からの使命を果たし続けられるかが問われる。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕原子力規制委員会発足式に臨む田中俊一委員長(当時、中央)ら=2012年9月19日午後、東京都港区
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