インターネットやスマートフォンが普及し、そういったサービスを自分で作ってみたいと思う人も増えてきています。今までIT企業で働いたことのない人も興味を持つ人は多くいるでしょう。
そういった企業で働く上で、そして自分でサービスを作るためには技術への理解が必須です。
今回は、株式会社サイバーエージェントで新卒採用の責任者をされている、小澤政生さんにお話を伺いました。優れたプロダクトを作るためにサイバーエージェントで取り組んでいる事例、今求められているエンジニアやデザイナー像について語ってもらっています。
これからエンジニアを目指す人、エンジニアと一緒に仕事をする人など、どの立場にいる人も参考になる内容でしょう。
エンジニアを採用するポイントは「素直でイイヤツ」「技術に前のめり」
ーーまずは、簡単な自己紹介をお願いします。
サイバーエージェント人事の小澤と申します。
経歴としては、2010年に新卒で入社し営業を経て、その後人事で採用に携わるようになってから6年目を迎えます。
ここ数年は、技術職の採用をメインに担当していましたが、今年3月から総合職含め新卒採用責任者を担当しています。
ーー今まで採用してきたエンジニアの性格や特徴などはありますか?
2つあり、エンジニアに関わらず、基本的に採用方針としては、素直でイイヤツを採用するというのが1つ目。
技術職採用については加えて「技術に前のめり」という点を見ています。
1つ目の素直でイイヤツというのは、言われたことを全部鵜呑みにするYESマンではなくて、私はよく「カラカラのスポンジみたいな人」と表現しています。
変化の激しいインターネット業界で、どんな勢いでどんな水が飛んでこようが、それをとりあえず吸収できる、そしてその水を自分で絞れる、つまりインプットとアウトプットのサイクルを早くして、仕掛けていきたい、という人を求めています。
そして技術者としては、自分が携わる業務の中の技術だけではなく、自分の興味があるところを意欲的に学べるかを重視していますね。
自発的に温泉でハッカソンをしたり、OSS活動、技術書の執筆活動を行う社員も多く、そういう社員の挑戦を応援する場を設けていきたいと考えています。
ーーハッカソンなどは、土日にも行っているんですか?
はい、土日も開催しています。自由に好きなものを創る時もあれば、Webフロントエンジニアがネイティブに2日間挑戦するような合宿もあります。
社員が開発に集中し、個人のスキルアップを図れる制度として昨年9月に技術職に特化した人事制度「ENERGY(エナジー)」をリリースしました。
サイバーエージェントは、事業ドメインが広い中で「事業のチャレンジや技術的なチャレンジをもっとしたいけど、他の事業部の雰囲気や採用技術が分からず、部署異動がイメージできないのと、一つの部署で続けているとベテランとして中核を担うようになりプロジェクトから抜けづらい」といった声もあって、なかなか異動を言い出せないということがあったんですよね。
そこで「エンジニアFA権」という2年ごとに異動希望が出せる制度を創ったり、海外でのネットワーキングやカンファレンス参加による最新情報取得のため、選抜されたエンジニアが海外で一定期間働ける「ワーキングアブロード」など、技術者からのヒアリング内容を参考に8つの制度をパッケージ化しました。
非エンジニアでもプログラミングを勉強するワケ
ーー小澤さんが考える優秀なエンジニアの定義ってありますか?
特に新卒で活躍をしているエンジニアで共通するのは、やはり自分で課題を見つけて自分で解決策を考えて「ちょっと作っちゃいました」ということができる、自走できる人ですね。
自分の意見をしっかりプロダクトに込めることも出来ますし、どんな背景で作ったのか話せる方が優秀だなと一緒に働いてる社員を見ているとすごく感じます。
ーーエンジニアの技術力を向上させるための施策などは行っていますか?
サイバーエージェント全体で4000名いるなか、約半分が技術職になってきています。
私が入った7年前は、まだ社員数も2000名足らずで、一緒に入社した同期も90人ぐらいの内エンジニアって5人しかいなかったんですよ。
元々は、ビジネス職が圧倒的に多かった会社ですが、広告事業で収益をあげ、メディアを作り、そこで得た収益を使ってゲームを作ってきました。「利益は挑戦の源泉」という考え方を大切にしています。
大型のM&Aに頼らない自前成長を行うという経営方針のもと、現在は広告やゲームで稼いだ利益の一部をAbemaTVをはじめとする新規事業に投資し、将来大きく利益を出す事業を育てています。
現在約100社の子会社があります。1年で5~10社の新会社が生まれ、2,3社をscrap and buildする、というサイクルの中で、エンジニアやデザイナーの果たす役割は年々重要になってきています。
どんどん仕掛けていく会社なのでその分、新しい技術を導入するチャンスや、やってみようという選択肢は非常に多い会社です。
やったことないことに対してもチャレンジをする場は非常に多く、結果的にサイバーエージェントグループ全体の技術力の底上げにも繋がっていると思います。
ーー非エンジニアの方がプログラミングやデザインについて勉強する場などは、あるんですか?
スモールスタートでやってるものもいくつかはありまして、内定者同士で、エンジニアがビジネスサイドの内定者たちにPHPとかJavaScriptを触ってもらうような場を作ったりしています。他にもデザイナーがイラストを教えたりもしますね。
非エンジニアもプログラミングやデザインの経験をすることで、1つの物作りをする上で気持ちよくコミュニケーションを取る術を学べるので、早く成果に結びつくんじゃないかなと思っています。
ーー人事を担当する人にとってもプログラミングの知識は必要ですか?
必要だと思います。エンジニアの採用においてや社内のエンジニアとのコミュニケーションを取る上で最低限の知識は無いといけないかなと思います。
自分自身もプログラミングができるに越したことはないですが、人事がコードを書けることが大事なのではなく、エンジニアがどういう風に書いているか、どういうところが大変なのかをやってみて共感し尊敬する、そして、「こういうことは嫌なんだな~、ここは喜んでもらえるんだな~」という想像を徹底的にイメトレすることが大事だと思います。
誰よりもエンジニア社員や学生の気持ちがわかる人事になりたいと思い、「ジンジニア(人事+エンジニア)」を目指しています(笑)
すごい会社に入るより、すごい会社を作るという文化を作るために
ーー今までは、エンジニアと非エンジニアのコミュニケーションのすれ違いはどうやって解消してきたんでしょうか?
新任マネージャー研修っていうものがあり、ここでは新しくマネージャーやプロデューサーなどチームマネジメントをすることになった方々を呼ぶんです。
今までにあったケーススタディを参加者にお渡しして、例えば「自分よりも年上のメンバーが入ってきました。あなたならどうしますか?」や「スーパーエンジニアが自分のチームに入ってきました。ただ黙々とやっているので、中々お願いがしづらいです。とメンバーから相談をもらいました。あなたならどうしますか?」など。
そういう実体験に基づいたケーススタディに対して、自分たちで答えを考えてもらっています。
明確な答えって出ないと思うんですが、方向付けをしてあげるっていうのは、プロデューサーやビジネス職もやりますし、後はエンジニア同士の理解を深めるなど、お互いの仕事の価値観の理解をより浸透させるような場を作っていますね。
ーー面白いですね。ケーススタディは、いいですね。
他にも、「ヒストリエ」というケーススタディ型の社史があります。過去に成功したプロジェクトや失敗した事業など当時プロジェクトに携わっていた人たち数名にインタビューをして、その内容を500字くらいにまとめて社員に配ったりもしています。
今までサイバーエージェントでどんな事業があって何でそんなことをやってきたのか、を当事者が全部話してくれるので、仕事をする上でも新規事業を作る上でも背景を知ることができて、勉強になるんですよね。
そういったものを浸透させることで、お互いの価値観、考え方を理解できるよう工夫しています。
ーー最後の質問になるんですが、これからエンジニア、デザイナー技術職で採用したい人物像ってどんな人でしょうか?
私がサイバーエージェントに入社を決めた決め手でもあるのですが、「すごい会社に入るより、すごい会社を創った方がカッコイイ」というメッセージは社内でも強く浸透しています。
自分がマーケットの先駆者になる、早くコントローラーを持ちたい、何かを仕掛けたい、と思って、下手でもいいからガチャガチャやってくれるような方と一緒に働きたいと思います。
少しでも多くの方にサイバーエージェントという会社を知っていただきたいので、全国各地会いにいきます。サイバーエージェントに興味があるという方は、いつでもご連絡お待ちしています!
以上がインタビューとなります。
小澤さん、貴重なお話をありがとうございました。
これからビジネスサイドやエンジニアサイドといった境目はなくなり、どちらの理解もある人が求められるはずです。エンジニアが普段何を考えているのか、IT企業で仕事をする上で何が重要なのか、ぜひ知っておきましょう。
また、TechAcademyでは初心者でも最短4週間でプログラミングの基礎が身につくはじめてのプログラミングオンラインブートキャンプを開催しています。
自分でWebサイトを作ってみたい、エンジニアとのコミュニケーションを円滑にしたいと思っている方はぜひご覧ください。プログラミングの仕組みや概念を理解することができるはずです。