ホンダの新型ヴェゼルが発表になった。パワートレーンは、1.5ℓDOHC i-VTEC+2モーターハイブリッドの「e:HEV」と1.5ℓDOHC i-VTEC+CVTの2種類を設定している。従来1モーターハイブリッド(i-DCD)だったハイブリッドが2モーターハイブリッド(i-MMD)になったことがトピックだ。では、エントリーモデルとなる1.5ℓガソリンモデルはどうなのだろうか?
ホンダのヴェゼルのパワートレーンは
■先代
・1.5ℓi-VTEC+i DCD
・1.5ℓI-VTEC+CVT
・1.5ℓI-VTECターボ+CVT
から
■新型
・1.5ℓi-VTEC+i-MMD
・1.5ℓI-VTEC+CVT
になった。
もっとも大きな変更はハイブリッドがi-DCDからi-MMDとなったことだ。
ホンダ独自の7速DCTにモーターを組み合わせたi-DCDは、フィット、フリード、ヴェゼル、シャトルなどが搭載していたが、ホンダはハイブリッド・システムをi-MMDに一本化し、「e:HEV」というバッジをつけることにしている。
ヴェゼルがe:HEV(=i-MMD)になったことで、i-DCD搭載モデルはフリード、シャトルのみになった。
スペックは
■新型
L15Z
エンジン形式:1.5ℓ直列4気筒DOHC
エンジン型式:L15Z
排気量:1496cc
ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm
圧縮比:10.6
燃料供給:PFI
最高出力:118ps(87kW)/6600rpm
最大トルク:142Nm/4300rpm
■先代
L15B型
エンジン形式:1.5ℓ直列4気筒DOHC
エンジン型式:L15B
排気量:1496cc
ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm
圧縮比:11.5
燃料供給:DI
最高出力:129ps(95kW)/6600rpm
最大トルク:153Nm/4600rpm
となっている。最大の違いは燃料供給がDI(筒内燃料直接噴射)からPFI(ポート噴射)に変わったことだ。それにともなって圧縮比が11.5から10.6へ下げられた。多くのエンジンが直噴化して高圧縮比化する方向だが、ヴェゼルはPFIに戻して圧縮比も下げた。また、アトキンソンサイクルは採用していない。
「燃費と出力を高いバランスで両立し、普段使いの使いやすさを追求」がこのエンジンのコンセプトである。PFIにした最大の理由は「静粛性」だという。「必要充分な馬力と燃費のバランス」だ。このL15型のPFI仕様は海外仕様のシティなどには搭載していたが、国内には初投入となる。
トランスミッションは、フィットから採用されたステップシフト付きの新開発CVTだ。フィットと比べて重量が増えた分とタイヤサイズに合わせて、最終ギヤレシオは4.992から5.436へローギヤ化された。
燃費は
■新型e:HEV X(FF)
WLTCモード:25.0km/ℓ
市街地モード24.7km/ℓ
郊外モード27.1km/ℓ
高速道路モード23.9km/ℓ
■新型G(FF)
WLTCモード:17.0km/ℓ
市街地モード12.8km/ℓ
郊外モード17.7km/ℓ
高速道路モード19.2km/ℓ
だから、もちろんe:HEVとガソリンモデルではかなり差がある。とはいえ、もし、実燃費がWLTCモードの90%だと仮定すると
■新型e:HEV X(FF):22.5km/ℓ
■新型G(FF):15.3km/ℓ
ということになる。
レギュラーガソリンが148円/ℓだとすると
■新型e:HEV X(FF):6.6円/km
■新型G(FF):9.7円/km
ということになる。1km走る毎に3.1円ずつハイブリッドの方がユーザーにとってメリットがある。
ハイブリッドとガソリンの価格差は37万9500円だから
379500÷3.1=12万2419
つまり、12万2419km走ったところで、車両本体価格+燃料代がハイブリッドとガソリンモデルが同じなるということだ。
e:HEVのモーター駆動(高速走行ではエンジン直結)の気持ちよさは別とすれば、227万9200円の新型ヴェゼルのガソリンモデルという選択も、悪くない。ちなみに、ハイブリッドとガソリン仕様の車両重量の差は100kg。ガソリンの方が100kg軽く回頭性が高いのも魅力となる。