ミニバン誌の編集者からキャリアをスタートさせ、国内外のニューモデルの試乗経験も豊富な塚田勝弘さんが選んだ「運転が楽しいクルマ」の第1位は、『はたらくクルマ』として今でも活躍している姿をよく見かけるスバル・サンバー。リヤエンジン・リヤ駆動というスバルらしいレイアウトが生む強力なトラクションが快感だったという。
TEXT●塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)
第3位:アルファ ロメオ147GTA「じゃじゃ馬を乗りこなす気持ち良さ」
全長4200mm×全幅1765mm×全高1430mmというCセグメントハッチバックに、3.2L V6エンジンを積んだ147GTAは、6速MTとの組み合わせ(後にセレスピードも加わった)により、走りは本当に刺激的だった。分厚いトルクと不用意にアクセルを踏み込むと、トルクステアが顔を出すじゃじゃ馬ぶりと、アルファ ロメオらしいフットワークのよさも楽しさにつながっていた。
扱いやすいボディサイズもあって、毎日乗るには、乗り心地も含めると少し躊躇する面もあったけれど、同時期に設定された156GTAよりも一体感が濃厚で、個人的には惹かれていた。ダウンサイジングが当たり前になった今ではもう登場しないようなモデルだと思う。
第2位:ユーノス・ロードスター「パープルラインで感じた人馬一体」
初めてステアリングを握ったのは、知人の愛車で、地元の筑波パープルラインに向かう途中の街中でも意のままになるハンドリングには驚かされた。
その後、NB、NC、NDとモデルチェンジを重ねたが、その度に乗り比べても、初代NAの「軽さ感」とか、多少ロールを伴いながらも意外に粘ってくれる足まわりの仕上がりとかも含めて「初代はいいなぁ」再確認させられる。音、振動面が多少大きめであっても、ゆったり走る際に臨場感を伴うなど、弱点も瑕疵とは感じさせなかった。
現行型のNDでもロードスターらしい良さは十分に継承されていて、自分で買うならもちろんMTだけど、ATでゆったり走っても楽しいと思わせてくれる。手に握るようなハイパワーではなく、ゆっくり走っても、もちろん飛ばしても楽しいのが最大の美点だと思う。
第1位:スバル・サンバー ディアスワゴン「小さいくせに濃厚な乗り味」
自動車雑誌の編集者時代に、軽ミニバン(軽ワゴン)を担当していた時期があり、広報車で乗っていて一番楽しみなモデルだった。
RRらしい高いトラクション性能は、箱根の山道でもグイグイと登っていくし、行き帰りの高速道路でも背が高いのに直進安定性も高く、疲れ知らずだったのを鮮明に覚えている。同時期にホームセンターで借りたサンバートラックは、もっと強烈で「お尻で曲がっていく」感覚が濃厚だった。それも飛ばさなくても手に取るように挙動を把握できるし、見た目よりも広い運転席の足元など、指名買いが多いというのも本当に腑に落ちた。
今でもはたらくクルマなどとして、大切に乗っている方を時々見かけると思わず声をかけたくなってしまう。
『運転が楽しいクルマ・ベスト3』は毎日更新です!
クルマ好きにとって、クルマ選びの際に大きな基準となるのは、
「運転が楽しいかどうか」ではないでしょうか。
とはいえ、何をもって運転が楽しいと思うかは、人それぞれ。「とにかく速い」「速くないけど、エンジンが気持ち良い」「足周りが絶品」などなど、運転を楽しく感じさせる要素は様々です。
本企画では、自動車評論家・業界関係者の方々に、これまで試乗したクルマの中から「運転が楽しかった!」と思うクルマのベスト3を挙げてもらいます。
どんなクルマが楽しかったか。なぜ楽しいと感じたのか。それぞれの見解をご堪能ください。
明日の更新もお楽しみに!