「吾輩はスズキ・ジムニーである。1986年の生まれで、型式はM-JA71Cだ。金属のルーフもエアコンもない、切替え式のパートタイムの四輪駆動車である。錆も進み、あちこちが凹んでいるので、ゆっくりと余生を送ろうとしていたが、週に1回、旅に出る事となる」今回のテーマは前回導入したテンマクデザインの「炎幕」テントの改造である。
TEXT &PHOTO○伊倉道男(IKURA Michio)
サンドカラーのパップテントが除隊して、新たにテンマクデザインの「炎幕」テントが加わった。やはりこのパップテントはポールを二股化して有効スペースを増やす必要がある。コットと呼ばれるキャンピングベッドを入れるとギリギリで、頭のすぐ横にポールがあるのは何とも狭い感じがしてしまう。そこで、既製品のパーツとポールを買う半分の値段でテントの左右両側とも二股化をしてみたいと思う。
当然ながら、重量は増えるであろう。だがこんな時期、何かを作る楽しみを思い出すのも良いものだ。既製品を購入して、色を塗り変えるだけでもアウトドアシーンは劇的に楽しくなると吾輩は思うのだ。
ホームセンターを見て周ると、テントと良く似ているのはビニールハウスだ。その骨組みはテントに似ていて、しかも値段はびっくりするほどの安い。片側が細く作られていて連結もできる。本数を増やして3本連結、4本連結としていけば1本のポールの長さは抑えられる。ただし連結部分が増えると重量は増し、また連結部分のロックはないので使いづらさは増すだろう。今回は二股部分とポール2本で構成する。本数が少なければそれだけコストも下がるし、長いと感じたら後から増やしてやることもできるからだ。
大まかなパーツは約190cmのポールを8本、ポールの足ゴムを4個、手で角度を調整できるように蝶ねじ。ここで吾輩はミスをした。蝶ねじと同じにナットも蝶ナットにすべきであった。そうすれば両手でキュッと締める事が出来たはずだ。残念ではあるが、それはまたチェンジしていきたいと思う。鋼板は1.6mmをチョイス。厚ければ丈夫であるが、加工は大変になる。工具はハンドグラインダー、ドリルとハンマーとポンチがあれば、ほぼでき上がるはずだ。
ポールを二股化や、自立させる時にひとつ注意をすることがある。きれいにテントを張るならテントの幕とポールに隙間がない方がよい。ところが降水時になると、テントの幕は水を弾いて下へ落とすだけではなく、自ら濡れて繊維を伝わり水を地面に導いていく。その中間地点でポールと幕が接触していると、水は重力に従ってポールに伝わりテント内に浸水してしまう。ポールとテントの幕はなるべく接触させる場所を少なくしておく必要がある。店舗等で見られる水を通さないビニールシートやブルーシートと、織った布とでは性質が違い使い方も違ってくる。
カラーは、キウイ色のテントに合うようにオレンジとアイボリーを選択し、乾きが早いラッカーにした。明るい色は暗闇の中で見やすく、撤収の時には紛失の防止にもなる。
二股化したテンマクデザイン「炎幕」の試し張りは岬のように突き出た場所。ここはテントサイトの3面にカヌーを出すことができるが、天気予報で少しでも降雨量があり増水があり得るなら避けるべき場所だ。
それでも天気の良い日のほんのひと時、水に囲まれながら過ごすには、なんとも気持ちが良い場所である。風が吹いても、テンマクデザインの「炎幕」は少し幕を揺さぶるだけで、風を避けてくれる。夕方になると風は収まり水鏡。水面が吾輩のテントサイトをくっきりと写し出してくれている。
ー吾輩はスズキ・ジムニーである。型式はM-JA71C。名前はまだないー
中華料理で「好きな物を頼んで」と言われたら、まあ定番だけれど、海老のチリソース炒め、回鍋肉、麻婆豆腐は外せない。それを簡単に作れたら、それはソロキャンプでももちろん仲間同士のキャンプでも話が弾むはずである。
そこで合わせ調味料のクックドウを使いチャレンジ。一品を作り終えたらそれを食べ、「さて次に何をいくか!」は楽しいのである。