日産が東京オートサロン2021で発表するはずだったコンセプトカー、NV350 CARAVAN OFFICE POD CONCEPTは、いまこそほしいリモートワークスペシャルだった!
長引くコロナ禍の影響で、リモートワークを余儀なくされている人、大勢いらっしゃると思う。かくいうMotor-Fan編集部も、「原則リモートワーク」な状況だ。自宅で仕事をするにも、環境が整っていないとか、スペースがないとか、家族がいて気が散るとか、さまざまな要因でなかなか仕事に集中できない人も多い(というか大半がそうではないだろうか? 違います?)と思う。
日産が開発したNV350 CARAVAN OFFICE POD CONCEPTは、まさに、いま世界で必要とされているクルマである。
と書いてみたが、プレスリリースを読んだときには、全然ピンときていなかった。今回、実物を見せていただく機会があって、俄然「これはいいかも!」と思うようになった。
まずは、概要を。
ベースは、もちろん「NV350キャラバン」だ。これに「オフィスポッド」を組み合わせたのが、今回のコンセプトカーである。
「日産として真剣に考えて作りました」というだけあって、実物の完成度は非常に高かった。
ボディに収納されるかたちのオフィスポッドは、リヤゲートを開けてスライドアウトさせると、ゆったりと仕事ができる空間が生まれる。オフィスポッドの耐荷重は300kgということだから、大人ひとり+コンピューター、チェアなどが載っても余裕である。しかも、足下はシースルーになっているから、たとえば草原、例えば河原にクルマを駐めてオフィスポッドを引き出せば、床下に緑やせせらぎを見ながら仕事が(仕事じゃなくてもいいんですが)できるというわけだ。
今回、これはいい!と思ったのは、オフィスポッドに搭載している椅子がハーマンミラーのモノだと知ったからだ。ハーマンミラーと言えば、名作「アーロンチェア」である。筆者も編集部で使うのはアーロンチェア(会社支給ではなく私物です。腰痛対策です)だ。高価だけれど、その座り心地、仕事のしやすさはやはりアーロンチェアならではのもの。
日産開発陣は、開発当初から、「ハーマンミラーのチェアを」と考えてハーマンミラージャパンにコンタクトをとったそうだ。日産からオファーを受けたハーマンミラー側は、当初は戸惑ったそうだが、アメリカの本社にも聞いたところ快諾ちなみに、ハーマンミラーでチェアを車載するのは初めてだったそうだ。
ハーマンミラージャパンの松崎勉社長は
「このコンセプトのパートナーシップの話が持ち込まれた時、私たちはとてもわくわくしました。この1年で働き方が大きく変わったことを考えると、クルマをオフィスにするというこのアイデアは、今後世界が再び開けていくなかで現在の分散型ワークがどのように進化していくのかを垣間見させてくれるものです。旅をしながら仕事のキャリアと周囲の世界とより深く繋がりたいという願いとを両立させられる健康的な方法を見つけることはじつのところ、私たちが必要としている道の新しい働き方なのかもしれません」
とコメントしている。
コンセプトカーに乗っていたのは、ハーマンミラーのコズムチェア(ミドルバックの固定アームのもの。単体での価格は税抜きで14万8000円)だったが、アーロンチェアも搭載可能だという。
コズムチェアに座ってみたが、これが素晴らしい座り心地なのだ。この椅子で仕事したい! と思わせてくれた。これなら腰痛とも無縁になりそうだ。
NV350 CARAVAN OFFICE POD CONCEPTのルーフには、なんと「ルーフバルコニー」がある。室内からルーフにアクセスできて、ルーフに上がるとゆったりと座れるチェアがある。プールサイドに似合いそうなチェアで、仕事の合間にくつろぐのに最高の環境だと思った。もちろん、現状はコンセプトカーだから、実際の市販化にはハードルもいくつもあると思う。オフィスポッドやルーフのチェアの収納方法、長時間仕事する際の電源をどうするか、とか問題はいろいろあると思う。
とはいえ、このクルマで海辺や高原で仕事ができたら、本当に気持ちよくリモートワークができそうだ。旅をしながら仕事。こういうクルマでなら、アリだと思う。