自動車メーカーでSUVの開発に携わった経験もある安藤眞さんが選ぶ、予算別のおすすめSUV。予算300万円までならマツダCX-30、予算600万円までならジープ・ラングラー アンリミテッド、そして予算無制限ならボルボXC60をチョイス。特にCX-30は、同じ価格帯では走りや質感の内装がずば抜けているという。
TEXT●安藤 眞(ANDO Makoto)
予算300万円までなら「マツダCX-30」
自分が買うならスズキ・ジムニーだが、他人に勧めるならマツダCX-30。この価格帯では走りや内外装の質感が図抜けている。汚して使うのは気が引けるので、雨の日でもキャンプに行くようなヘビーなアウトドア好きには勧めないが、ウィンタースポーツやトレイルランを楽しむライトユーザーにはちょうど良い。車両本体価格が300万円以下でも20SのPROACTIVE Touring Selection なら4WDを選んでもギリギリセーフだ。
予算600万円までなら「ジープ・ラングラー」
自分で買うならジープ・ラングラー。基本的に牽引フックがすぐ使えないクルマは
SUVとは認めたくない。家族のことを考えなくていいならショートホイールベースの「スポーツ」だが、4ドアの「アンリミテッドスポーツ」が無難なところか。ただし高速道路走行では乗り心地も操縦安定性もイマイチなので、オフロードフリークでないならグランドチェロキーにしたほうが満足度は高い。日本では欧州SUVが幅を利かせているが、SUVの本場はアメリカ。“四駆”の元祖、Jeepブランドの乗り味は、一度は味わっておきたい。
予算が無制限なら「ボルボXC60」
自分で買うならメルセデス・ベンツGLCフューエルセル。先日試乗して、静かさと快適さに感銘を受けた。でも先行き不透明な水素燃料車を他人に勧めるのは気が引けるので、ボルボ・XC60を推しておく。
フロントマスクはジャーマン3ほど威圧感はなく、内装はデザインにも品があるし、質感も非常に高い。もちろん操縦安定性や乗り心地のバランスも良好。ネックになるとすると、1900mmに達する全幅か。グレードはD4 Inscriptionでも満足できそうだが、電気の引けるガレージをお持ちなら、PHEVのT8 Twin Engine AWD Inscription でEVライフを楽しむのも良さそうだ。
ますます人気が盛り上がっているカテゴリー、SUV。自動車メーカーも開発に力を入れており、ラインアップが充実しているのはうれしいのだが、どれを選べばいいのか迷ってしまいがち。
そんな迷えるSUVオーナー予備軍のために、「予算300万円まで」「予算600万円まで」「予算無制限」といった具合に予算別のベストSUVを紹介。毎日、自動車評論家・業界関係者に3台選んでいただくので、明日の更新もお楽しみに。