気持ち良いエンジンの要素の一つに「サウンド」がある。内燃機関ならではのエネルギーを感じさせるエンジン音は、電気自動車にはないもの。竹岡 圭さんは、アストンマーティンDBSスーパーレッジェーラのV型12気筒が奏でる官能的なエキゾーストノートにすっかり魅せられてしまったようだ。
TEXT●竹岡 圭(TAKEOKA Kei)
1台目:アストンマーティンDBS スーパーレッジェーラ【エンジン:V型12気筒ターボ】
アストンマーティンってね、やっぱりオトコノコのクルマだと思うんですよね。なんてったってジェームズ・ボンドが乗ってるクルマですからね、なんとなくそんな伊達男のイメージなんですよ、イタリアじゃなくてイギリスだけど(笑)。
イギリス車って、普段はジェントルマンなんだけれど、イザとなったらオオカミに豹変するみたいな、そんな共通的印象があります。こちらのDBSスーパーレッジェーラはまさにそんな感じ。ゆったりとクルージングしている時は、本当にエレガントなGTカーなんですが、ひとたびアクセルを踏み込むと、ウソでしょ?!と、パチパチとまばたきしちゃうくらい、シャープで獰猛なスポーツカーに印象が変わるんです。官能的かつ包み込むような爆音とでも言えばいいでしょうか。いつの間にやらすっかり取り込まれているような感じ、音に包まれるってこういうことだと思います。
ところで、街でアストンマーティンを見かけても、ジェームズ・ボンドにはついぞお逢いしたことないのが誠に残念です。いったい、どこにいるのかな~っ?!
2台目:アバルト595 コンペティツィオーネ【エンジン:312A3】
やっぱり、レコードモンツァの音色は伊達じゃない。あ! これは伊達男のイタリアン車ですけれどね。こちらは、ヒラヒラともてあそばれそうな印象の一台。高回転域までカーンとエンジンを回して、駆け抜けるといった感じです。
1.4Lターボと言えば、いわゆるダウンサイジングターボエンジンだったりしますけれど、ギャレット製のターボはイマドキ少なくなったややドッカンターボなところが、また味わいがあっていいんですよ。ちょっとハシタナイかもしれませんが、ここはひとつ、やや蓮っ葉に「ぶん回したい!」。そんな気分であります。
自分でリズムを取りながら、エンジンを奏でさせる、一緒に駆け上がろうぜ的な楽しさ溢れるどこまでも明るいモデルです。
3台目:ジャガーFペイス SVR【エンジン:508PS】
最近もっぱらSUVブーム、いやもうブームを通り越して、標準カテゴリーになっちゃいましたね。昔のセダンとかコンパクトカーが、いまやSUVに成り代わった感じさえあるほど、世の中SUVだらけです。
とはいえSUVって、エンジンが気持ちイイっ!っていう言葉には、なかなか遠いと思うのですが、こちらのSVRはとてつもない爆音。これはちょっといくらなんでもやりすぎじゃないですか?! と、諫めたくなるくらいの爆音です(笑)。これでもか~!というくらいのわかりやすさで、他のSUVにキッチリ差を見せつける、いや聞こえさせる感じなんですよね。このボディサイズで、あのひれ伏したくなるような爆音エンジンで吠えられたら、さながらライオンに睨まれた感さえあります。
【近況報告】
まだまだコロナ禍ではありますが、いろいろ気を遣いながらTVの収録も再開し、お仕事の方は徐々にペースが戻りつつあるところです。でもまだまだ、友人達と集まれないのが寂しいところ…(涙)。早くリアルに顔を合わせて、あれこれおしゃべりしたいなぁ~と思う日々です。温泉行きたいなぁ~♪
【プロフィール】
BS日テレ『おぎやはぎの愛車遍歴NO CAR,NO LIFE!』や、テレビ神奈川『なかなか日本!高速道路DRIVE1バン旅』でMCを務めるモータージャーナリスト。レーシングチーム「圭rallyproject」を自ら率いて全日本ラリー選手権にもチャレンジ中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)副会長。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
『気持ち良いエンジンならこの3台』は毎日更新です!
内燃機関は死なず! 世の中の流れは電動化だが、エンジンも絶えず進化を続けており、気持ちの良いエンジンを搭載したクルマを運転した時の快感は、なんとも言えないものだ。そこで本企画では「気持ち良いエンジンならこの3台」と題して、自動車評論家・業界関係者の方々に現行モデルの中から3台を、毎日選んでいただく。明日の更新もお楽しみに。(モーターファン.jp編集部より)