ラビットやシルバーピジョンなど、スチールボディのスクーターを「鉄スク」と呼ぶ。当然、鉄スクは古いモデルばかりなので、経年により錆びる。サビだらけのボディにも味があるけれど、動かなくては話にならない。そこでイタリア産鉄スクの代表であるベスパを題材に、鉄スクを復活させる手段や方法を考えてみよう。
こちらでは何度か、自ら所有するラビットやベスパの記事を紹介したので、ご記憶の方もいるだろう。昔からバイクは大好きだけど、同時にベスパやラビットなどの鉄スクーターも大好きだった。だからベスパはすでに2台乗り継いでいるし、ラビットは紹介したように全バラによるレストアを施した。そんな筆者だからか、またある出会いに恵まれた。
出会いの経緯は以下の通り。まず筆者、最近になって山と川しかないような田舎へ引っ越した。住み良い環境を求めての引っ越しだったが、同時に広いスペースを確保してバラバラに置いていたポンコツたちを一か所に置きたかったというのも理由の一つ。引っ越した先で新たな道を走る最中、フト目に気になるモノが見えた。バイクを左に寄せて来た道を戻ると、そこにはガソリンスタンドが。スタンド脇にある建物のガラス越しにベスパが見えたのだ。それが写真の姿なのだ。
P125Xは1978年に発売された新世代ハンドチェンジ・ベスパで、125のほかに200や150も存在する。長らく不人気モデルで中古車価格も安めだったのだが、それも昔のこと。試しにヤフオクをチェックしてみると、売りに出ているP125は1台しかなく、程度も悪くないため値段は27万円スタート。もっと程度の悪いものが出てきても10万円を下回ることはなさそう。ずいぶんと人気が出たものだ。
とはいえ我がP125Xは歴とした不動車。まずは洗車して細部まで状態を確認してみよう。
まぁ、ここまで確認しなかった自分がいけないのだから誰も責められないが、フロアは無残なまでにサビが広がり、腐食による穴が何個も空いていた。これを放置すれば、いずれは足が地面に届いてしまうだろう。大掛かりな板金作業が必要になったということだ。
ちなみにPシリーズはフロアレールが3本あり、いずれもフロア裏でリベット留めされている。外すことは可能だし、リベットが打てればもう一度装着することも可能。また右フロアから突き出ているのがリヤブレーキレバー。本来ここにはゴムペダルを付いているので、足が痛くなるようなことはない。