トヨタガズーレーシング(以下、TGR)は、今年のニュルブルクリンク24時間レースへの参戦を見送ることを発表。残念ながら、V8ツインターボエンジンを搭載したレクサスLC2の活躍を見ることはできない。TGRは、2021年の再挑戦を目指すとしている。
新型コロナウイルスの影響により、今年のニュルブルクリンク24時間レースは9月24〜27日へと延期されてしまっていたが、さらにTGRの参戦見送りという残念なニュースが飛び込んできてしまった。
トヨタはもっといいクルマづくり」の活動の一環として、2007年から13年連続でニュル24時間の参戦を続けてきた。ときには豊田章男社長もドライバーとして参加するなど、近年のトヨタ(TGR)にとってニュル24時間は欠かせないレースイベントとなっていた。
今年、TGRはトヨタ自動車の社員メカニック・エンジニアが自ら製作したレース車両であるレクサスLCの投入を予定。石浦宏明、佐々木雅弘、大嶋和也、蒲生尚弥の4名がドライバーとして名を連ねていた。
しかし、世界的な新型コロナウイルス感染拡大によって、チームメンバーの渡航制限、現地での走行テスト自粛など、車両の開発に甚大な影響を受けてしまった。
特に今回のレース車両であるレクサスLCには、数々の先行開発技術が投入されていた。具体的には、以下の通りだ。
・エンジン開発(新開発V8ツインターボエンジン)
・ボディ開発(軽量高剛性ボディ構造、新開発空力アイテム、ドライバー支援アイテム)
・サスペンション開発(軽量高剛性サスペンション、軽量化ホイール、高応答アブソーバー)
・運動制御開発(VSC、TRC、ABSなど各種制御システムの進化)
こうした車両では、今回のような状況下では過酷なニュル24時間を安全に完走できる保証が困難であり、また参加する社員・関係者の安全確保にも課題があると判断して、2020年の参戦見送りという苦渋の決断が行われることとなったというわけだ。
TGRは、ニュル24時間の重要性は変わることなく、2021年以降も参戦を続けていくとのこと。また、今回の参戦見送りで生まれた時間を有効活用し、来年の参戦準備を早期から進めていくという。
また、TGRはスバルと共同で5月24日(日)にオンラインイベント「e-ニュルブルクリンク・レース」を開催する。ファンは、こちらでTGRを応援していただきたい。
トヨタ自動車・豊田章男社長のコメント
「先日、ニュルに住む友人から、今年も変わらず綺麗な花を咲かせた“ニュルの桜”の写真が送られてきました。
毎年、その桜の前で、チームも私も、安全を祈り、もっといいクルマづくりを誓って、レースに臨んでおりました。今年は、それを出来ず、残念で仕方ありません。
遠く離れた日本からではありましたが、その写真を見ながら、この逆境の中でも“もっといいクルマづくり”を続けていくことだけは誓いました。
本年は参戦を見送ることになりましたが、社員メカニック、社員エンジニア、そしてプロドライバー、サプライヤー、スポンサーパートナーの皆様と共に、“もっといいクルマづくり”の挑戦は続けてまいります。
ファンの皆さまにも、引き続き、我々の活動を見守っていただき、そして応援いただければと思います。
よろしくお願いいたします。」