安価なエントリーモデルとして人気の高いホンダ・NC750S。突出した部分はないけれど、それがこの車両のアピールポイント! デザインや機能性が上手にまとめられていて非常に乗りやすい一台となっている。ユーザビリティに優れたこの車両を先代(NC700S)と比較しながらレポートしていこう。
REPORT:川越 憲(KAWAGOE Ken)
PHOTO&EDIT:佐藤恭央(SATO Yasuo)
NC750S(グラファイトブラック)……775,500円
NC750S(キャンディークロモスフィアレッド)……759,000円
NC750S Dual Clutch Transmission……826,100円~
足着き性は、大型スポーツバイクの中で最も良いと思われるレベル。身長182cmのテスターは両足べったりでヒザの曲がりに余裕がある。ハンドル幅が短めで、ポジションは全体的にコンパクトにまとめられている。車体が低重心なので取り回しも安心感が高い。
バーハンドルは幅が短めで取り回しがしやすい。小ぶりなバイザーと一体式メーターの組み合わせはシンプルで、コクピットは必要最小限にまとめられている。
液晶デジタルメーターを採用。上部にバーグラフ式の回転計を配しているのがスポーティだ! こちらは液晶の色を変更することも可。右側には時計と燃料残量計、左側のオドメーターと必要な機能は押さえ済み。インジケーターが下部に集約されているのもポイント。
スイッチ類はセルとキルスイッチ以外、左スイッチボックスにまとめられている。標準装備されるグリップヒーターは、ノーマルのグリップとほぼ同じ太さの「スポーツグリップヒーター」。スイッチもコンパクト設計だ。ホーンスイッチがウインカースイッチより上にくるホンダ独自のレイアウト。
ツートンのシートは、ライダー側は柔らかくクッション性に富む。リヤシートは硬めで後方に絞られた形状だが、座面は大型リヤバッグの積載にも十分なスペースを確保。
大径シングルディスクはブレーキのタッチにダイレクト感があり、コントロールしやすい。ABSを標準装備する。
フロントフォークにはSHOWA製のデュアルベンディングバルブ「SDBV」をチョイス。見た目は普通の正立フォークだが、内部に新構造のバルブユニットを採用している。従来のフリーバルブ構造に対し、複合バルブとすることでより安定した減衰特性を獲得。
LEDを採用した精悍なフロントマスク。メーターバイザーは小さいが、高速道路での整風効果に優れる。テールランプもLED仕様で、テールエンドが絞られた最新スポーツモデルの流行に沿ったデザインだが、どことなくオーソドックスな雰囲気も残されている。
■主要諸元■
※【 】内はNC750Sデュアル・クラッチ・トランスミッション
車名・型式:ホンダ・2BL-RC88
全長(mm):2,215
全幅(mm):775
全高(mm):1,130
軸距(mm):1,520
最低地上高(mm):140
シート高(mm):790
車両重量(kg):218【228】
乗車定員(人):2
燃料消費率*1(km/L):
国土交通省届出値定地燃費値 (km/h)…42.5(60)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(クラス)…28.3(クラス 3-2)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m):3.0
エンジン型式:RC88E
エンジン種類:水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒
総排気量(㎤):745
内径×行程(mm): 77.0×80.0
圧縮比: 10.7
最高出力(kW[PS]/rpm):40[54]/6,250
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):68[6.9]/4,750
燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式:セルフ式
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式:圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L):14
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式6段リター【電子式6段変速(DCT)】
変速比:
1速…2.812【2.666】
2速…1.894【1.904】
3速…1.454【1.454】
4速…1.200【1.200】
5速…1.033【1.033】
6速…0.837【0.864】
減速比(1次/2次):1.731/2.529【1.921/2.294】
キャスター角(度):27 ゜00′
トレール量(mm):110
タイヤ:
前…120/70ZR17M/C(58W)
後…160/60ZR17M/C(69W)
ブレーキ形式:
前…油圧式ディスク
後…油圧式ディスク
懸架方式:
前…テレスコピック式
後…スイングアーム式(プロリンク)
フレーム形式:ダイヤモンド
■製造事業者/本田技研工業株式会社