日産自動車は、年末年始の帰省や旅行での長距離移動が増える季節に先がけて、高速道路の運転に苦手意識を抱えるドライバーに、苦手な理由や高速道路運転時の意識に関する調査を実施した。
結果、運転免許取得者の中でおよそ4人に1人が高速道路の運転に苦手意識を抱える「高速道路ナーバス」であることが判明した。また、高速道路ナーバスの人の5人に2人が「なるべく一般道を利用するようになった」ということもわかった。
そこで、日産は、なぜ、高速道路ナーバスになってしまったのか、その原因を考察し、克服の鍵を交通コメンテーターで運転のエキスパートである西村直人氏にまとめてもらった。その結果、「脱・高速道路ナーバス」には「速度をなるべく一定に保つこと」と「ハンドル操作(ステアリング)をゆっくり行うこと」が鍵となることがわかった。
高速道路の運転に関する苦手意識を調査したところ、全国の免許取得者のうち4人に1人(24.3%)のドライバーが「苦手と感じる」と回答。また、毎週運転する“ベテランドライバー”でさえも6人に1人(16.7%)が苦手と感じていることが分かった。
「高速道路の運転が苦手と感じるようになったタイミング」について尋ねると、約4割の人が「運転免許取得後から一年以内」と回答。そして「運転免許取得時から10年以上後」と答え、運転歴が長いにもかかわらず、苦手と感じるようになった人も約4割いることが判明した。
高速道路ナーバスの人が苦手と感じる高速道路のポイントは、6割以上の人が「車が頻繁に合流する道(ジャンクションやインターチェンジ)」と回答。また「高速道路の走行中に苦手だと感じること」を尋ねると、半数以上の人が「車線変更」と答えた。
「高速道路の運転時、誰を乗せた時に苦手と感じるか」とたずねたところ、「同乗者の有無に関わらない」という意見を除くと、最も多かったのは恋人や配偶者で、約2人に1人となった。その理由としては、41.8%の人が「運転について注意(評価)されるのが嫌い」と回答した。
さらに、高速道路ナーバスの半数以上が「高速道路の利用後に大きな疲労感を感じるようになった」ことがわかった。そして、4割以上の人は「高速道路の利用時に、ときどき恐怖心を感じるようになった」と回答。結果として、高速道路ナーバスの5人に2人は「なるべく一般道を利用するようになった」と答えている。また、約4人に1人は「高速道路を意識して利用しなくなった」ことも明らかになった。
そして、高速道路ナーバスの人のうち、60.5%の人が「苦手意識を克服したい」と答えた。
追い越し時や出口ICへ向かう際の車線変更のアシスト、指定した速度の維持、速度を調整して車間を維持するなどの特徴を持つ「運転支援技術への期待」についてたずねたところ、高速道路ナーバスの82.9%が「期待している」と回答。また、高速道路ナーバスの人が最も苦手と感じる「車線変更」をアシストする技術に対しては、91.6%が期待していると回答した。
そして、高速道路ナーバスを克服したいと思っている人のうち、約8割(79.9%)が運転支援技術が搭載されたクルマであれば「克服できると思う」と答えた。今後の運転支援技術搭載のクルマに対して期待が高まっていることがわかる結果となった。
西村直人氏が「#高速道路ナーバス」を解説。 すぐに実践できるコツを紹介!
正式名称を高速自動車国道とする「高速道路」はとても便利な交通網です。1965年に日本初の高速道路である名神高速道路が開通し、今や総延長は9,341.1 km(2017年4月現在/国土交通省発表値)に達しました。そして現在も各地で延伸工事が進められています。これまで物流や観光を通じ、日本経済を下支えしてきた高速道路ですが、利用するドライバーからすると違う側面が見えてきます。
今回の調査結果では、「きっかけなく最初から高速道路が苦手」とするドライバーが59.4%いることが判明しました。興味深いことに回答頂いた830名のドライバーのうち運転免許証を取得して1年以内の方が37.7%、取得後10年以上経過した方が37.1%、それ以外の方が25.2%とあまり偏りがみられません。つまり、運転経験に関係なく高速道路に対する苦手意識が抱かれていることがわかりました。
苦手意識が抱かれる理由のひとつは走行速度の高さです。ご存知のとおり高速道路は一般道と比べ法で定められた最高速度が高く100 km/h(一部区間は試験的に120km/h)と一般道から1.6~2倍程度にまで高まります。走行速度が高まるとクルマへの物理的な影響もそれだけ大きくなり、ドライバーとしてもより慎重な運転操作を心がけることから、時として神経質な状態に陥りやすく身体的な疲労も増加傾向に......。また、車線変更にしてもタイミングを計ることが難しくなることから苦手とするドライバーが多いようです。
運転経験に関係なく明日から実践できるポイントは二つあります。一つ目は、速度をなるべく一定に保つことです。高速道路では一般道と比較して道が広く、建物などが視界に入りづらいです。そのため、速度感覚が鈍り、知らずに速度が落ちてしまうことがあります。スピードメーターで確認し、一定の間隔で運転することが大切です。
二つ目は、ハンドル操作(ステアリング)をゆっくり行うことです。カーブの曲がり始めや車線変更を行う際の操作をゆっくりと行うことがポイントです。目安として、車線変更では法規にならい、ハンドルを切り始める少なくとも3秒前にはウインカーを出します。その後、「カチ、カチ」というウインカーの作動音を5~6回確認できるようにゆとりをもって車線変更の運転操作を行います。こうすることで、車が安定したまま車線変更でき、さらに同乗者も安心して身を委ねられます。
運転支援システムにはそうした身体的な疲労を軽減し、苦手意識を和らげてくれる効果があります。2016年8月に「セレナ」から実装が始まったプロパイロットではアダプティブ・クルーズ・コントロールと車線維持機能を組み合わせた運転支援を、そして新型「スカイライン」に実装されたプロパイロット 2.0では一歩進み、新たに3D高精度地図データなどを活用しナビルートと連動した車線変更を支援してくれます。また、道路や運転状況など決められた条件が整うとステアリングから手が放せるほどの高い精度で車線維持機能を働かせることもできます。
「追い越し支援機能」とは、ナビ連動ルート走行中、同一車線上に自車設定速度よりも遅い車両がいる場合に追い越しにまつわる運転操作の支援をしてくれる機能です。まず、追い越し可能な状況になるとシステムがドライバーにディスプレイ表示で知らせてくれます。このとき、ドライバーがステアリングに手を添えてスイッチ操作を行うとウインカーが点滅し自車周囲の安全を車載センサーにより確認した上で自動車線変更が行われます。そして、追い越しが終わると安全な車間距離が保たれた時点で同じくドライバーに知らされ、同様の操作を行うことで元の車線に戻ることができます。
また、「車線変更支援機能」は、ナビ連動ルート走行中であれば道路の分岐支援を行なうことも可能です。
日産のプロパイロット 2.0に用いられた先進運転支援システムは、SAEレベル2(部分運転自動化)に属していて、将来的な自律自動運転を構成する要素技術としても重要視されています。
今後、ドライバーがこのような運転支援技術を使うことによって、高速道路の運転に対する苦手意識を和らげると同時に、運転に対する過信を遠ざけ、結果的に技術の正しい普及も後押しします。