昔アウディのCMでスキーのジャンプ台を登っていたシーンを覚えている人もいるだろう。今度は85%という急勾配の雪山にアウディがチャレンジした。クルマは特別にチューンしたe-tronだ。
アウディe-tronがアルペンスキー会場にもなる急勾配の雪の斜面にチャレンジ、見事に登りきった。挑戦の舞台となったのはオーストリア・キッツビュールの「マウスファーレ」。その勾配はなんと85%!これはつまり100m進むと高さ85mまで登る坂ということで、ほとんど45°に近い。下から見上げるとまるで壁に見えるほどだ。30度(約58%)の勾配になると上級スキーヤーでもビビるほどだから、85%の坂がどれほど急か、わかるだろう。
この雪壁(!)挑戦のために、アウディは特別仕立てのe-tonを持ち込んだ。フロントに1基、リヤに2基のモーターを搭載して最高出力は370kW、最大トルクは8920Nmを発揮。前後のトルク配分もソフトウェアを見直してこのコースに最適となるようにした。
タイヤは専用に開発された19インチのスパイクタイヤを装着しており、安全性を確保するためにロールケージと6点式シートベルト、レース用バケットシートを装備した。また落下防止のための安全ケーブルも装着されたが、クルマを引き上げることはできないという。
ステアリングを握ったのは世界ラリークロス選手権のチャンピオンで、DTMのタイトルを2度獲得しているマティアス・エクストローム。果敢に壁に挑んだエクストロームは、見事に85%の雪壁を登り切った。
「85%の勾配なんて、最初は不可能だと思いました。しかしこれほど難しい地形に対応できるこのクルマの能力には感銘を受けました」
とエクストロームはコメント。彼にとって生涯で最も驚くべき体験であった、と付け加えた。