可搬式移動オービスの導入が相次ぐ昨今、つい先日も、岐阜県警や岡山県警の導入発表が各メディアで報道されたが、いずれも警察にとってのメリットを伝える記事ばかり。我々ドライバーが本当に知りたいことは、実はそんなことではない、のだ!
えん罪を生みやすい取り締まりだけに、なおさらその正当性が気になる!
すべての交通違反は犯した時点ではれっきとした犯罪(※1)であり、それを取り締まる警察には「危険な事故や違反を未然に防ぐ」という立派な大義がある。年々、減っているとはいえ、未だに交通事故死者が3,000人を超えている(ただし、事故発生から24時間以内に死亡した場合のみ)現状を見れば、警察の取り締まりには正当性があるし、我々も意義を唱える気はまったく無い。
が、スピード違反に限って言えば、速度を測定して出た「数値」が決定的な証拠となり、それ相応の罰金や反則金を払わされる上に(下手をすれば懲役刑を課される可能性だってある)、最悪、免許停止等の処分を受けることになるわけだ。本来であれば、「果たしてそれが正確であるのか?」という、国民の大前提としての疑問に明確な論拠を提示することは警察の義務であるはず。事実、過去に誤測定による数々のえん罪未遂事件が発生しているのだから。
ところが昨今の各メディアの報道ときたら、警察の発表のまま「〇〇県警が可搬式移動オービスによるスピード取り締まりを始めた」、「軽量で移動可能だから、スペースに限らず取り締まりが可能」、「生活道路の取り締まりに役立つ」等々、まるでコピペしたような文章を並び立てるだけだ。その機械の詳細な測定方法と測定精度に関して、なぜ、取材してくれないのか、それが不思議でしょうがない。そこが国民が本当に知りたいところなのだ。
(※1)軽微な違反は検挙後に交通反則告知制度=反則金制度を受け入れれば犯罪にはならない
この世に100%正確な測定器はない! と物理学者が断言!!
ここで、過去(約15年前)に実際に起こったオービスによる速度取り締まりにおける誤測定疑惑裁判にて、被告側証人として出廷した早稲田大学の教授(現在は名誉教授)であり、理学博士でもある大槻教授の証言を公開しておこう。RS-2000というのは今や全数が撤去対象となっている、レーダー式オービス、Hシステムのことだ。
☆大槻教授の主張
「RS-2000は甚だ信用性に欠けるばかりか、学術的、科学的な検証、実験もされていない、学術上、科学技術上の『えせ計測器』です。このような装置が唯一の証拠として刑事事件の立証に利用され、過去、何万件もの有罪判決が言い渡されてきたと聞き、心底驚いています。 裁判所は『有罪の証拠がない』として、速やかに無罪判決を言い渡すべきと考えます」
「いつでもどこでも100%正確に測定する機械はない。それが科学の常識だ。私はノーベル賞の選考委員会から依頼されて賞の推薦人に6回なったことがある。100%正確な測定機をつくれたらノーベル賞が100個もらえる」
「ほとんどあらゆる周波数の電磁ノイズが自然界にはある。アトランダムに偶発的に現われて消える。このノイズに半導体チップはたいへん影響されやすい。現代文明の泣きどころだ。もちろん科学者はさまざまに工夫、努力するが、誤測定は場所を選ばず突然起こる。ノイズから100%安全な装置をつくれるなら、病院や航空機会社へ納入すればいい」
「本件装置について100回のデータが出され、すべてマイナス誤差しか出ないとなっているが、たった100回のデータを出してくること自体が信じられない。100回程度でばんばんプラス誤差が出るような装置は警察も採用しないだろう」
「このような装置を唯一の証拠として人を有罪にするのは、あまりにお粗末。こういうことで有罪にしてきた事実が、私は信じられない」
この裁判、結局は裁判官がRS-2000の製造メーカー(三菱電機)側の証言を鵜呑みにし、被告側の敗訴となったが、その事件の経緯が、三菱電機の速度測定機器の製造&販売からの撤退、Hシステムの全数撤去対象化のきっかけとなったことは言うまでもない。それにしても「自社の製品は正確です」という我田引水的証言が有罪の決定的証拠として取り上げられること自体、まさに理不尽の極みだ。
というわけで、レーダー式に限らず、速度測定方法として歴史のある光電管式、そしてループコイル式でさえ測定条件によっては誤測定を生むと言われているのに、現在、警察が鳴り物入りで導入しているレーザー式に至っては、その測定方法や測定精度が一切、公に明らかにされていないというのは明らかにおかしな話。言論の自由によってこの国の社会正義を守る使命を帯びている各マスコミのみなさん、ぜひ、その辺のところを突っ込んでいただけませんかね?