フォレスターが新型に生まれ変わってから半年以上が過ぎましたが、その人気は非常に高いようです。そこで、新型フォレスターの魅力を知りたくて4日間を共にしてみました。
今回は山道を飛ばして、という試乗ではなく、都内での移動や高速など、ごく普通の使い方をしてみました。4日間というのはちょっと中途半端かもしれませんが、そこで感じたよい部分、そしてちょっと気になった部分を挙げてみましょう。
ちなみにグレードは2.5LNAのフラット4を搭載した X-BREAK。販売はe-BOXERが4割を占めているとのことですが、今回は伝統的(?)なNA水平対向搭載グレードを選んでみました。
フォレスターのここが◯ ・エンジン
今は2.5ℓもあれば立派な大排気量とも言えますが、やはりある程度の排気量を持つNAエンジンのフィールは素晴らしいですね。アイドリングからジワジワとアクセルを踏み込んでいくと、心地よいエンジンのビートとともにトルクが湧き上がってきます。ピストンひとつひとつの動きが感じられるような回転フィールは、水平対向ならではといえるでしょう。
ポルシェの水平対向6気筒は長らく3.6ℓの時代が続きましたが、1気筒あたり600cc前後というのはパンチのあるトルクを発する理想的な数字だと言えます。とするとFB25の気持ち良さも納得です。ちなみに燃費は都内では9km/ℓ前後、高速道路で12km/ℓ前後といったところでした。
フォレスターのここが◯ ・トランスミッション
走りの気持ち良さはエンジンの素晴らしさだけでなく、トランスミッションの優秀さがもたらす面も多そうです。
個人的にCVTはあまり好きではないのですが、このリニアトロニックCVTはアクセル開度、スピード、そしてエンジン回転の3要素の連携に不自然な感じはほとんどなく、ギヤ式トランスミッションのような自然な感覚で運転できました。下り坂では変速比を低めにキープして適度にエンジンブレーキを効かせるなど、なかなかに賢いです。
フォレスターのここが◯ ・ツーリングアシスト
アイサイトに代表される安全支援システムに力を入れているスバルですが、ACCの優秀さには驚きました。
特にレーンキープ機能が素晴らしく、車線に近づいたらステアリング修正、反対側の車線に近づいたらまた修正、という“ピンボール状態”になることもなく、ほぼ車線の真ん中をキープし続けてくれるので、高速道路は半自動運転気分です。どうやら先行車両の走行軌跡も制御因子に取り込んでいるとのこと。
また日本メーカーのACCは前車との距離を一番短く設定してもかなり距離を空けがちですが、フォレスターのACCは絶妙な距離を保ってくれるので運転していてストレスがたまりません。設定速度が0~120km/hと広範囲なのも嬉しいし、停止まで制御してくれますから渋滞でもかなり使えます。
現在、このテの機能ではメルセデス・ベンツが最も使いやすいと思いますが、フォレスターはそれに匹敵すると感じました。
フォレスターのここが◯ ・SUVにうれしい装備
SUVといっても街中しか走らない、というケースも多いと思いますが、さすがスバルだけあってフォレスターはSUVを遊びで使い倒す人の気持ちがよくわかっています。
ステアリングヒーターと後席シートヒーターが全グレード標準装備なんて、雪国の人やウインタースポーツを楽しむ人ではなくても嬉しいはず。ルーフレールはX-BREAK以外はオプションですが、ルーフに密着するタイプではなく独立したタイプ。この方が汎用品のキャリアが使えて便利ですし、ロープホールまで設けられています。
ラゲッジルームは樹脂製なので汚れを気にせず何でも積み込めます。室内とラゲッジルームを仕切るパーテーションネットがあればもっと良かったですが。
フォレスターのここが✖️ ・エンジン再始動時の振動
最近のクルマの例に漏れず、フォレスターにはアイドリングストップが装備されていますが、エンジン再始動時の振動が大きすぎです。ブルルンッとクルマ全体が揺さぶられて、最初は何が起きたかと思ったほど。
発進するたびにこれですから、思わずOFFスイッチを押したくなってしまいます。これは早急に改善して欲しいですね。
フォレスターのここが✖️ ・繁雑なステアリングスイッチ
ステアリングにはオーディオやACC、SI-DRIVEのスイッチなどがありますが、さすがにちょっと煩雑かな、と。オーナーになればすぐ慣れるのかもしれませんが……
もっとシンプルで直感的に操作できるインターフェースが必要かと思います。最低でもACCの車間距離設定スイッチは、ひとつにまとめて欲しいですよね。
フォレスターのここが✖️ ・デザイン……
デザインは好みなので何とも言えないですが、もっとクリーンでまとまりのあるフォルムにして欲しいですね……主観ですが。ボンネット両端が盛り上がっているなんて、スポーツカーじゃないんだから……個人の意見ですが。