一見すると何も変わっていないように見える新型SR400。しかし、キャニスターの装着以外にもいろいろと変わっている部分があることは既報通り。そして今回、2014年SR400に乗る私・佐賀山が新型モデルに乗って、乗り味の違いをチェック。その結果、見た目以上の変化に驚いたのだった!
PHOTO●渡辺昌彦(WATANABE Masahiko)
REPORT●佐賀山敏行・一間堂(SAGAYAMA Toshiyuki)
ヤマハ・SR400……572,400円〜
街乗りでの力強さに感動! 中低速での落ち込みが無くなった!?
編集部から新型SR400を借り受けて、都内の事務所から僕が今回目指したのは、神奈川県海老名市。「プチ・ツーリング」と銘打っているけれど、じつのところは同市にあるSRスペシャルショップ・キャンディーモーターサイクルラボラトリーで、新旧SRの違いをタンクやシートを外しながら確認してもらおうとしたのである。その模様は次回で紹介するとして、今回はその道中……街中から高速道路、ワインディングなどを走った感想を書いていこう。
まずは街中。走り出したところで感じたのは「速い!」ということ。僕の4型SRは5,500rpmで最大トルクを発揮するのに対し、5型(現行)では3,000rpm。この違いは街中で少し乗っただけですぐに実感できた。……というのも、じつは4型では2,000~3,000rpmでトルクの谷があるのだ。しかし5型の最大トルクはまさにその「谷」にあった部分! 埋めるどころか、さらに山となって盛り上がっているのである。正直、はじめてSRに乗るというライダーであれば、このトルクの出方は「うーん、じつにシングルらしい!」だけで終わってしまうだろうが(苦笑)、僕たち4型オーナーにとっては、感動のパワーフィーリングといえよう。ちなみに僕の愛車はマフラーを変えているが、音量と音質は変わっているものの、パワーの出方は純正とほぼ同じだということを付け加えておきたい。
高速道路に乗る。ルートは「中央道・国立府中IC~圏央道・海老名IC」で、空いているのもあり、グングンとスピードを上げられる。ここでは実際に数字で力強さが明らかになった。僕の愛車は平坦な道では5速4,000rpmで80km/hで巡航できるのだが、5型では90km/hとなった。先述のとおり、僕のマフラーは純正とほぼ同じパワー特性。ただし、フロント19インチホイールによるメーターの誤差は考えられるし(ただし車検はこのまま合格)、走行2万km近い個体だということも考慮に入れなければならないだろう。しかしそれらを鑑みても、オーナーの直感として、やはり5速4,000rpm時点でのスピードは5型の方が上だと思う。
ただし、5型では5,000rpm以上での伸びの鈍さが気になった。なかなか回転が上がらず、スピードも乗らなかった。最高出力はほぼ同じなので、おそらく最高速度は変わらないと思うが(公道なので当然試していない)、そこに到達するまでに5型では時間がかかりそうだ。そうはいっても実用域では5型の方がパワフルに走れるし、最高速を競うバイクではないのは明らか。この特性は、むしろよりSRらしさを強調しているのではないかと、僕は思う。
従来のSRが持つ軽快感は健在。ワインディングではエンジンのパワーを使いきりながら、右に左に曲がりつつ、楽しく走らせることができた。ちなみに僕の愛車はフロントホイールを19インチ化し、アップハンドルを装着している。これによって十分にリヤ荷重をかけて回ることができる。なんだかワンクラス上の旧車に乗っているような大らかな乗り味は気に入っているのだが、純正SRのフロント18インチホイールとやや前よりのステップ、そしてちょっと垂れ下がったコンチハンドルの組み合わせに久しぶりに乗ってみると……その絶妙なセットアップに感動する。軽い前傾姿勢は適度にフロントに荷重を掛けつつ、前よりのステップでしっかり踏ん張ることができて、リヤにも適正に体重を預けられる。SRを純粋なシングルスポーツバイクとして楽しむなら、ハンドルやホイールはこのままがいいかも!? カスタムが魅力のSRだけど、そう思わせてくれる素晴らしいセットアップである。
こうして丸一日、SRとともに過ごしたわけだが、率直な感想は「より乗りやすくなった!」ということ。とくに街中でのパワーは申し分なし。高速道路も法定速度内の巡航であれば、よりパワフルになったと感じた。最大トルクも最高出力も、数値だけを見れば少しダウンしたが、それを感じさせず、むしろ「SRらしさ」はさらに増したといえるだろう。キャニスターが装着されて、エンジンパワーもダウンして、正直心配もしたが、これはまさしくSR!! 新型が気になって仕方がないアナタに、自信を持ってオススメできる一台だ。