ランドローバーの原点と言えるディフェンダー。無骨でワイルドなフォルムは他のSUVとは明らかに異なる存在感を放つ。昨年、生産中止になってしまったこの歴史的名車、改めて振り返ってみよう。
新型メルセデス・ベンツGクラスがそのスタイルをほとんど変えずに登場したのを見てもわかるように、無骨でワイルドなSUVを好む人は多い。最近のSUVがあまりにも乗用車的にスマートになりすぎた、要は軟弱(?)になってしまったことへの反動もあるのだろう。つい先日、20年振りのフルモデルチェンジを果たしたスズキ・ジムニーも初代に回帰したようなクラシックなデザインが特徴だ。
そんなクラシックでワイルドなSUVといえば、忘れてならないのがランドローバー・ディフェンダーだ。これは1948年登場のシリーズⅠから発展した本格オフローダーで、SUV専門メーカーのランドローバー社の基礎を築いたクルマと言える。強固なラダーフレームの上に鉄板(実際はアルミ)を貼り合わせて作ったようなボディは飾り気も何もなく、それが却って男らしいワイルドな雰囲気を生み出している。駆動はもちろんAWDだが、センターデフなど持たない切り替え式というところも本格オフローダーらしい。
1990年代後半には日本にも正規輸入されたが台数限定であったため、販売されたのはほんの僅か。根強いファンのために一部の業者がごく少数を輸入していたのだが、残念なことにディフェンダーは2017年に生産中止となってしまった。理由はこの手のクルマのお約束と言える衝突安全と排気ガスが現代の規制に対応できなくなったというもの。残念ではあるが、これも時代の流れでしょうがないだろう。
このディフェンダー、実際に運転してみるとその感覚はやはり相当にクラシックだ。MTのクラッチ(ATもあるが)、シフトノブ、ステアリングなど操作系はすべてそれなりの重さで、とにかく楽な最新のクルマとは一線を画す。試乗した車両は2.2ℓの直4ディーゼルを搭載しており、パワーは122ps、トルクは360Nm。車重は2t近くあるのでいかにも非力そうだが、最大トルク発生回転は2000rpmなので、ちょっと踏むだけでグイグイと力強く加速してくれる。ただ、音はかなりうるさい。ユサユサとボディを揺らすサスペンションなど、やはり一昔前のクルマを運転している気分になる。
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