
2017年にデビューした二代目リーフ。
航続距離の大幅な伸びや先進の運転支援技術の搭載など、
先代から全方位的進化を遂げているが、なかでも注目は
アクセル操作だけでほとんどの加減速をカバーできる「e-Pedal」の採用だろう。
だがこのe-Pedalが、雪や氷といった低μ路で大きな効果を発揮することは
あまり知られていないのではないだろうか。
TEXT&PHOTO:小泉建治(KOIZUMI Kenji)

氷点下9°Cの女神湖───主役は4WD勢のはずが……

2018年1月末、長野県北佐久郡にある女神湖周辺で、恒例のメディア向け日産氷上試乗会が開催された。エクストレイル、GT-R、リーフ、ジューク、ノート、スカイラインなど、四輪駆動、前輪駆動、後輪駆動がバラエティ豊かに用意され、駆動方式の違いと、それぞれに採用されている最適な運転支援デバイスを体感できるというものだ。
こんな路面状況だから、当然ながら主役は四輪駆動勢だ。とくにエクストレイルは、インテリジェントエンジンブレーキやインテリジェントトレースコントロールが効果的で、氷上、雪上ともに最も高い走破性とライントレース性を発揮した。
そしてアクセルを踏んでさえいれば、よほどの無茶をしない限り安定し続けるGT-Rにも底知れぬものを感じた。「なんだ、結局はGT-Rが一番か」と、感心するやら呆れるやら。
だが、筆者にとってこの日の主役は上記の2台ではなく、同じく四輪駆動のジュークでもなかった。意外にも前輪駆動でピュアEVのリーフだったのである。本稿では、そのリーフに絞ってリポートしたい。
なぜか減速時に絶大なる安定感

ツルツルの氷上なんて滅多に走る機会がないだけに、最初は慣れることに精一杯だったが、何度か乗り換えて走っているうちに、だんだんとそれぞれの車種やデバイスの違いがわかるようになってくる。言うまでもなく発進が有利なのは四輪駆動だ。
だが、途中でリーフに乗り換えてふと気がついた。この減速時の安定感はなんなのだろう? 二輪駆動の場合、当たり前だがエンジンブレーキは二輪にしかかからない。それはEVであるリーフも同じで、回生ブレーキはフロント二輪にしかかからない。四輪にエンジンブレーキがかかる四輪駆動よりも不利のはずなのだ。
ところがリーフの場合、e-Pedalをオンにしておくと、回生ブレーキに加えてメカニカルブレーキ、つまりフットブレーキも自動的に併用してくれるのだ。ただ、それとてエンジンブレーキを効かせながらフットブレーキを自分で踏み込んでいるのと同じで、それが安定性においてアドバンテージとなるとは思えない。
速度が出せるヒルディセントコントロール?

だがリーフのe-Pedal作動時のメカニカルブレーキは、電動マスターバックの採用によって四輪を独立して制御することを可能としている。
そして路面μやグリップ状況をモニターし、1万分の1秒単位で緻密にブレーキをコントロールし、トルクベクタリング効果を生み出しているのだという。この1万分の1秒を距離に換算すると、70km/h走行時で約2mmとなる。つまり、2mm進むごとにブレーキの強さを四輪独立で行っているのだ!
その効果は絶大だ。たとえば雪道で下りながらコーナーにアプローチするときなど、ブレーキを踏むことを躊躇してしまう場合がある。スピードは落としたいけれど、ヘタをするとそのままツツーッと真っ直ぐ滑ってしまいやしないかと。
そんなシーンでも、e-Pedalが作動していれば、アクセルペダルから足を離しさえすれば、クルマのほうで四輪に適切な配分でブレーキをかけてくれて、なにごともなかったかのように減速してくれる。
そのサマは、さしずめ「スピードが出せるヒルディセントコントロール」と言ったところ。
前につんのめるわけでもなく、逆にスーッと荷重が抜けるようでもなく、ググッと四輪同時に身をかがめるようにコーナーにアプローチできるから安心感がこの上ない。
EVはエコのみに非ず。そしてシームレスで伸びやかな加速のみにも非ず。減速時にもこんな効果を生み出せるとは、EVの新たな可能性を感じさせるテストドライブだった。
Specifications「なぜ? トランクを広くしたら、音が静かになった新型リーフ」はこちら!
日産リーフG
全長×全幅×全高:4480×1790×1540mm 車両重量:1520kg 定格出力:85kW 最高出力:110kW(150ps)/3283-9795rpm 最大トルク:320Nm(32.6kgm)/0-3283rpm 駆動用バッテリー総電力量:40kWh 駆動方式:FWD 価格:399万600円