「中古車ジャーナリスト」との看板を掲げているせいだろうか、FacebookのメッセンジャーやらTwitterのDMやらを通じて「中古車の購入相談」を持ちかけられることが多い。
そういった相談に対して「では相談料5000円(税別)を承ります。入金が確認でき次第、あらためてこちらからご連絡さしあげます」ということは特になく、すべて無料にて対応している。
これは自分が「いい人」だからでは決してない。
事実はその真逆で、「人に親切にすればするほど、後から金持ちになれる」という話をどこかで聞いたため、あくまで利己的な目的で、そうしているだけのことだ。いまだ金持ちになるきざしは見えないが、わたしはそれを固く信じている。
そうこうしているうちに過日、数カ月前に無料相談に乗ったとある男性から、下記のようなメッセージが届いた。
「貴様が『あの店で中古車を買えばたぶん大丈夫ですよ』と勧めた販売店で輸入車を買ったのだが、その後すぐに壊れた。どうしてくれるんだ? 貴様を告訴する。そして貴様の悪口をSNS上で死ぬほど拡散してやる」
悪口の拡散など屁とも思わないが、話として少々気になるため、わたしはその者と会ってみることにした。
その者の自宅駐車場へ行き、その者が買ったというとあるイタリア製中古車の助手席に座り、「ところで、どこがどう壊れたというのですか?」と、わたしはその者に問うた。その際、助手席シートの上に何か小さな物体が落ちていたため、とりあえず左手でそれを拾い上げながら、わたしは発話した。
「どこがって、貴様が今、左手で持ってるそれだよ!」
「へ?」
「買って1週間で、インテリアのその部品がもげたんだよ! さあどうしてくれる? 告訴する! 拡散する!」
その者は、口のまわりを泡だらけにしながらそのようなことをわめいていたが、わたしは半分ぐらいしか聞いておらず、まったく別のことを考えていた。
考えていたこととは、こうだ。
「そうか。普通の人は、何かの部品がちょっともげただけで『壊れた!』と感じるのか。俺の感覚からすればそんなモンは壊れたうちに入らず、『中古の輸入車なんて何かがもげて当然だろ! 接着剤でまた付けとけや!』ぐらいの感じなのだが、世間ではそうでもないのか……」
また別のある日、別の男からメッセージが届いた。