新車の場合はメディア向けに「広報車」という便利なものが用意されているが、中古車にそれはない。中古車というのは基本的にいつだって商品車つまり売り物であるため、「貸してください」と言って簡単に貸してくれるものでもないのだ。
だがこのたびカレントライフ編集部ならびにガレージカレントのご厚意により、月に2回ほど「中古車の試乗レポート」というまあまあレアなものを書かせていただく機会を得た。
低走行系前期カレラSのなかでは手頃なプライス
今回の題材は2007年式のポルシェ911カレラSティプトロニック。いわゆる997の前期ティプトロで、走行距離は2.9万kmと少なめ。そして人気の純正オプションである「スポーツエグゾースト」と、テラコッタのオールレザーインテリアが装着されていながら車両本体価格は517.9万円。
このプライスは「997前期のカレラSティプトロ全体」のなかでは比較的高めといえる価格だが、「走行3万km台までの997前期カレラSティプトロ」に限定して考えるなら「かなりお安い!」といえる数字だ。
まずは外観。キャララホワイトのボディに目立ったキズ等はなく、くすみのようなものも特になし。前オーナーがどんな状況で保管していたのかは不明だが、少なくとも現時点のボディは「悪くない感じ」といえる。
お次は内装だが、こちらの個体はテラコッタ(素焼きの焼物のような色)レザーがシートだけでなく、メーカーオプションの「オールレザーインテリア」として随所に張り巡らされている。
その焼物っぽい色味を好むかどうかは人それぞれだろうが、少なくとも言えるのは「レザーの状態は上々」ということだ。全体的にスレは少なく、表皮の劣化が現れやすい運転席シートにおいても、スレの程度はミニマムだ。
ただしレザー以外の樹脂部分には、約12年間の使用に伴って生じた浅い線キズのようなものがそれなりに目立つ。ここをどう評価するかは人それぞれの価値観次第だろうが、筆者としては「517.9万円ならアリかな?」と感じた。
これが600万円、700万円の個体であったとしたら「微妙……」と思うところだが、「500万円ちょい」という車両価格であるならば「ま、トレードオフだよな」というニュアンスで納得できるレベルだ。
さすがは3.8Lの極太トルク。ティプトロの状態もOK
では、さっそく走ってみよう。