
<明治安田J1:横浜0-0町田>◇第27節◇23日◇日産
横浜F・マリノスがホームでFC町田ゼルビアと0-0で引き分けて勝ち点1を積み上げ、降格圏から脱出した。湘南ベルマーレに得失点差で上回り、17位に浮上。J1残留圏内に入ったのは、9試合消化時点で17位だった4月9日以来、約4カ月ぶりとなった。
リーグ戦8連勝と絶好調の相手に真っ向勝負し、勝ち点をもぎとった。この日、31歳の誕生日を迎えた喜田拓也主将はこう振り返った。
「非常にタフなゲームになると思っていた。相手の土俵でも真っ向勝負できる気概はもっていた。もちろん違うところでも勝負できるし、同じ土俵でも絶対に引いてはいけない気持ちだった。十分対応できたシーンもあったし、逆に一刺しできればよかった。チャンスもピンチもあって、どっちに転んでもおかしくなかった。勝ちたかったですけど、前向きにもなれる試合だった」
1シーズン制ではクラブ史上初の単独最下位を経験するなど、苦しいシーズンを過ごした。チームを高みに導いた、FWアンデルソンロペス、エウベル、Yマテウスの「ブラジル人トリオ」らが去り、新たなチームに生まれ変わった。喜田は「彼らの功績や感謝は変わらない」とリスペクトを示しつつ「このメンバーでマリノスをはい上がらせていく決意を持って新たなスタートをしている」と覚悟を口にした。
その言葉通り、11人でのハードワークを徹底。個に頼らないスタイルを進化させ、ようやく光が差し込んだが「良い意味であまり深く考えていない」と気の緩みは一切ない。「僕らはポイントを積み上げるしかない。他が堂とかではない。勝ち点をどんな形でも積み上げることが大事になる」と自分たちに矢印を向ける。
試合日の23日が誕生日。改めて感じることがあった。「サッカー選手としてもそうですけど、まずは人としてこうして無事に迎えられるのは幸せ。大事な家族、仲間がいて、僕は全てを懸けたいと思えるクラブがある。苦しい辛い状況もあるけど、日常のありがたさはどうしても忘れがちになるけど、その普通がどれだけありがたいか。支えてくださるみなさんに感謝したい」と語った。
残り11試合。地力はあるだけに、戦い方が徹底され、1つの方向を向けば、強い。「マリノスにいるからには責任もって人生懸けて戦っていく。腹くくって、あと11試合毎試合決勝戦のつもりで臨むし、マリノスのために全てを懸けたい」と誓った。【佐藤成】