
<明治安田J1:G大阪3-2横浜FC>◇23日◇第27節◇パナスタ
ガンバ大阪がホームで横浜FCを下し、連敗を3でストップした。
苦しい流れを止めるのは、やはりFW宇佐美貴史(33)だった。
1-1の後半11分、相手のハンドでPKを獲得し、今季2度目の逆転につながるビッグチャンスが巡ってきた。「いやあ、緊張しました。蹴りたくなかったし、逃げ出したかった。ここで外したらやばいだろうなと思いながら、ボールを持っていった」。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)での確認の末にPK獲得が決まるとすぐに、バックスタンド側に歩き出して、水を飲んで一息ついた。その後、ゆっくりと歩きながら、手にしたボールを10度ピッチについた後、セットした。「よくよく考えたら、こういう局面で全部決めてきたから大丈夫か」。最後は自信を持って右足でゴール右上を打ち抜いた。
さらに同36分には、MFファン・アラーノのワンタッチパスに抜け出したヒュメットがGKをかわしてゴール前に送ると、宇佐美がこれを左足で押し込み、勝利を引き寄せた。
チームはファジアーノ岡山、サンフレッチェ広島、FC町田ゼルビアに敗れて3連敗。この連敗は思っていた以上にチームに重くのしかかっていた。「もちろん3試合負けるようなことがあってはいけないけど、必要以上に自分たちがガクッときている感覚があった。サポーターのリアクションを奮起にしてエネルギーに変えてやれればいいけど、そこまでメンタル的にタフな選手が多くない中で、ちょっと食らってしまった感じがあった。それが広島戦でもろに出て、消極的なパフォーマンスに終始していたし、前向きな姿勢でトライした選手は皆無だった。町田戦は悪くはなかったけど、ああいう負け方になってしまった」。
そんな状況を変えるには、勝利しかないと考えていた。「口で言ってもしゃあない部分があるし、何とか結果でチームを勝たせなないといけなかった。何とかそれができて良かった」。再びチームを引き上げるきっかけになる勝利に、胸をなで下ろした。
昨年10月の北海道コンサドーレ札幌戦では、は9戦勝ちがなかったチームを救うスーパーゴールを決め、この日は連敗を止める2ゴール。「もう誰か止めてくれとかも思いますよ(笑い)」と話ながらも、「でもたぶん自分なんだろうなと思いながら、やらないといけないのは、ひしひしと感じていた」と、エースの自覚を持ってピッチに立った宇佐美が、パナスタに歓喜をもたらした。【永田淳】