
<ヤクルト2-15巨人>◇19日◇神宮
巨人丸佳浩外野手(36)がサイクル安打を達成した。ヤクルト戦の初回に今季5号先制2ランを放つと、3回の右前打、5回の中越え二塁打で快挙に王手。6回の四球を挟んで、迎えた7回1死三塁から右越え適時三塁打をマークした。NPBでのサイクル安打は21年のヤクルト塩見以来72人目、77度目。球団では08年の小笠原道大以来、17年ぶりとなった。プロ18年目での達成は歴代最遅記録。36歳4カ月での達成は、広島山本浩二に続き歴代4番目の年長記録となった。
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丸が必死の思いで頭から滑り込んだ。7回1死三塁。ヤクルト長谷川の直球を強振した打球は、右中間を破った。「一塁ベースを回ったところで(サイクルを)思い出しました。頼むから自分の足、持ってくれ」。転々とする打球を横目に二塁を回ると、ヘッドスライディングで三塁ベースを陥れた。「全然足が回らなくて疲れました」と苦笑いしつつ「まさか達成できると思ってなかったので良かった」と感慨に浸った。
初回からバットが火を噴いた。1死二塁、打った瞬間に確信する5号先制2ラン。「コンパクトにきれいに回転して打てました」と自画自賛の一打で波に乗った。3回に右前打、5回に中越え二塁打で記録に王手。6回に冷静に四球を選んだ後の5打席目で快挙を成し遂げた。
プロ18年目。ベテランは体調管理に抜かりない。「30歳を越えたぐらいからどうしても食べる量とかを考えながらやらないと、イメージより(体重が)増えちゃう」と、昨オフから腸活を取り入れた。キノコ、海藻を積極的に摂取。今年1月の自主トレ公開の際には「筋肉量が落ちずに体脂肪が減ってくる」と効果を実感していた。
猛暑への対策も万全を期す。「去年はずっとスポーツドリンクばっか飲んでて、試合後の尿比重を測ったら、常に脱水の状態だった」と、意識してスポーツドリンクと水を交互に飲む。練習終わりの水風呂やシャーベット状の飲料水であるアイススラリーを飲んで体の深部体温を落とすなど、工夫をこらしながら試合に臨んでいる。
36歳シーズンを全力で駆け抜けている。開幕前に「この年になってくると同世代の選手も少なくなってくる」と話していた通り、先日、同学年で巨人でもチームメートだった中日・中田が引退を発表した。そんな中、今季初の3番に入り、歴代で最も遅いプロ18年目で偉業を達成した。「若い時からある程度ハードにトレーニングをしてきたので、貯金がまだ自分の中にあるんじゃないかな」。年齢を言い訳にするつもりはない。【水谷京裕】
▼丸が21年9月18日塩見(ヤクルト)以来、プロ野球72人、77度目のサイクル安打を達成。巨人では54年7月25日川上哲、63年4月25日王、97年9月26日広沢、99年6月25日仁志、08年9月3日小笠原に次いで17年ぶり6人目。丸は18年目で達成したが、これは83年4月30日山本浩(広島)の15年目を抜いて最も遅いサイクル安打となった。
◆丸佳浩(まる・よしひろ)1989年(平元)4月11日、千葉県生まれ。千葉経大付から07年高校生ドラフト3巡目で広島入団。13年盗塁王、17年最多安打、18年最高出塁率。16~18年のリーグ3連覇に貢献し、17、18年MVP。18年オフにFAで巨人移籍。ベストナイン6度、ゴールデングラブ賞7度。19年プレミア12日本代表。今季推定年俸3億2000万円。177センチ、94キロ。右投げ左打ち。