
<阪神6-2ヤクルト>◇9日◇京セラドーム大阪
阪神木浪聖也内野手(31)が、大歓声に応えた。「9番及川にかわりましてバッター木浪」-。満塁男の名前がコールされた途端、京セラドーム大阪に虎党の声援が響いた。投手の方へ鋭い目線を飛ばし、冷静に見極めて押し出し四球。かみしめるようにガッツポーズし、一塁に向かった。
「打席に向かう時、ファンの方の声援で『よし、いってやろう』とすごく後押しされた。役目を果たせた」
2-2の8回。2死満塁で代打木浪が打席に入った。初球から3球連続ボール。カウント3-1から外角へはずれたボールを見逃し、勝ち越しの押し出し四球とした。「初球からいくと決めていたがボールだった。3ボールからもいこうと思ったが、冷静に1点をとることだけ考えていた」と振り返った。7月31日の1軍再昇格後10日目、出場4試合目で初打点となった。
久しぶりの満塁だ。石井の負傷交代に騒然とする中でサヨナラ打を放った6月6日オリックス戦、第4打席以来の満塁。「ネクストで『満塁くるな』と。打てると思って打席に入った」と頼もしい。23年は打率4割4分4厘、昨季は4割7分1厘で今季も5割。得意の場面で決勝点を入れた。
優勝した23年、翌24年は1軍で100試合以上に出場も、今季はここまで1軍54試合で打率1割9分6厘。6月20日には2軍降格。負傷以外の理由では、ベストナインなどに輝いた23年以降初めてだった。前日8日の安打は6月6日オリックス戦以来約2カ月ぶりだった。
安打が出なくても、出番がなくても、毎日やるべきことをした。「変わらないようにやっているつもり。それを怠ることだけはないように、そう考えながらやっていた」。自分の軸をぶらさずに鍛錬し続けた。
久しぶりにファンの祝福を浴び「勝つことが全て。やるべきことをやって勝てればいい」。6月の抹消後は主に小幡が務めている遊撃スタメン。23年Vに大貢献の男も負けていられない。【塚本光】