
<全国高校野球選手権:京都国際3-2尽誠学園>◇16日◇3回戦
“花形”の夏が終わった。尽誠学園のエースで4番の広瀬賢汰主将(3年)が力尽きた。初回に味方の失策で甲子園初失点も、5回に自ら一時逆転の2点適時打。だが8回、集中打と足攻で2点を奪われ、23年ぶりの全国8強は果たせなかった。
9回の反撃は前打者で終わった。「すごくいい相手でした」とベンチを振り返り、うなずいた。強敵との決戦を前に「相手が上だと思いすぎると力を出し切れない。同じ高校生という言葉は気持ちを楽にしてくれる」と仲間を鼓舞。昨夏の全国王者に食らいついた。逆転された8回も「1球1球悔いなく投げることができた」。涙はなかった。
3つの重責を担い、普段は「調子が悪いところなんて見たことがない」と球友は口をそろえる。部屋を訪れたチームメートが、肩、肘の手入れに一生懸命な広瀬を見てはっとしたほど。「負けた試合は全責任が自分にあると思ってやってきた。責任を与えてもらっていたからこそ、成長することができました」。投打の軸よりチームの軸にこだわった。
日本一の夢を持って大学へ。「チームを勝たせることができる投手になってプロを目指します」。取材を終え、仲間が待つ部屋に西村太監督(46)と戻ったとき、熱い拍手に迎えられた。【堀まどか】
◆2試合連続無四死球 尽誠学園・広瀬が東大阪大柏原戦に続き無四死球で完投。夏の大会では16年堀瑞輝(広島新庄)が富山第一、木更津総合を相手にマークして以来9年ぶり。