
<エンゼルス6-5ドジャース>◇13日(日本時間14日)◇エンゼルスタジアム
【アナハイム(米カリフォルニア州)13日(日本時間14日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(31)が、かつてのホームで凱旋(がいせん)二刀流を披露した。エンゼルス戦に「1番DH兼投手」で出場し、投手では4回1/3を投げ5安打4失点。打者では第1打席に三塁打を放つなど、4打数1安打だった。元同僚の盟友マイク・トラウト外野手(34)との対決は23年3月のWBC決勝以来。2打席連続の見逃し三振で圧倒した。復活勝利はならず、チームも首位陥落となったが、数々の歴史を生んだ特別なマウンドで名勝負を再現した。
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二刀流の大谷がエンゼルスタジアムに帰ってきた。かつてのベンチとは反対、一塁側からゆっくり、慣れ親しんだマウンドへ向かう。帽子のつばをさわり、イニングごとに感謝を込めた。盟友トラウトとの再戦では、互いがほほえんだ。言葉は交わさずとも、分かり合えるものがある。「一番いい打者だと思うので、自分の持てるものの中でベストな球を常に投げなければいけない」。腕の振りにも、自然と力がこもった。
その言葉通り、真っ向勝負を挑んだ。第1打席は最大の武器でもあるスピードボールを軸に攻めた。5球連続の直球から内角スイーパーで見逃し三振。第2打席は初球カーブで入り、カウント2-2から渾身(こんしん)の直球を外角低めに決めた。この日最速の100・7マイル(約162キロ)。「最終的にいいところに、いいボールがいったのは、今日の中でもいいところの1つ」と、納得の1球だった。空振り三振に打ち取ったWBC決勝から約2年半。さらに進化した姿で、決め球を振らせなかった。
一方で主砲に成長したウォードには本塁打を浴び、かつて打撃のアドバイスを送った若手のネトに2点適時二塁打を浴びた。喜怒哀楽をともにした元同僚との初対戦にも「元チームメートに投げるというよりは、このスタジアムで、アナハイムで投げること自体が久々だったので、それは特別なこと」と、感じた。通算で48回、上がったマウンド。いい時もあれば、悪い時もあった。少なからず、気持ちは揺れ動いた。
「たくさんの思い出があるスタジアムなので、もちろん好きな球場の1つですし、その中で今日登板できたっていうのは1つ、自分のステップアップとしてもいい1日だった」
球数がかさみ、5回途中で降板となった。古巣相手に復活白星とはいかなかったが、ベンチへ下がる大谷へ、両軍のファンは立ち上がって拍手を送った。復帰後最多の80球。「勝ちきれれば良かったですけど、また切り替えてドジャースタジアムに戻って、次の試合に集中したい」。休養日を1日挟み、首位を奪われたパドレスと本拠地で3連戦。次なる戦いに目を向け、懐かしの地を後にした。
◆大谷対トラウト 大谷がエンゼルス戦に初登板。エンゼルス時代の同僚トラウトとはレギュラーシーズン初対戦となった。23年3月21日のWBC決勝では日本が3-2とリードした9回表、指名打者でスタメン出場していた大谷が登板。2死無走者から米国の2番トラウトと対戦し、フルカウントからの6球目に大きく曲がるスイーパーで空振り三振。世界一を決め胴上げ投手となった。
○…ドジャースが対エンゼルス戦で初の7連敗を喫した。先発した大谷が5回途中で降板し、リリーフ陣につないだが、8回に4番手のエンリケスが8番オハピーに2点適時打を浴び、逆転された。チームは4連敗で首位から陥落。大谷は試合後、「勝ちきれていない部分はやっぱり、みんなプレッシャーというか焦りみたいなものがあるのかなと思う。明日休みを挟んで大事な試合が続くので、切り替えてしっかり集中したい」と前を向いた。