
<全国高校野球選手権:関東第一6-1中越>◇13日◇2回戦
待ってろよ-。昨夏準優勝の関東第一のエース坂本慎太郎投手(3年)が、盟友との再戦へ好発進した。初回2死三塁から暴投で先制点を与えたが、失点はこの1点だけ。変化球を効果的に使って凡打の山を築き、9回1失点完投勝利。「終盤にかけてしっかり修正できたのはいい部分。自分のピッチングができました」と満足そうに振り返った。
燃えないはずがなかった。試合に備えて待機していた室内練習場のテレビでは、昨夏覇者の京都国際が健大高崎に勝利した第1試合の映像が流れていた。1年前に深紅の大優勝旗を懸けて戦った西村の熱投を、じっと見守り「西村が良いピッチングをしていたんで負けてられない。刺激になりました」と気合がみなぎった。
昨日の敵は今日の友-。今春のU18代表候補合宿でともにメンバーに入りし、投球術を教え合った。西村から宝刀チェンジアップの握りを教わって、ひそかに練習。手首を返さないようにすることなど助言を受け「西村に教えてもらったチェンジアップが自分の新球種になった」と引き出しを増やした。7回先頭打者には2球続けて勝負球に選び空振り三振を奪うなど、ライバルから学んだ成果を甲子園で発揮した。
最後の夏を迎えるにあたって、互いのグラブを交換した。再会の時に返す約束を交わし、共に甲子園の舞台に戻ってきた。右手になじんだ盟友のグラブで、6回以降は無安打。同学年の左腕に触発されて、1人で133球を投げきった。【平山連】