
<阪神1-0中日>◇11日◇甲子園
阪神湯浅京己投手(25)が1点リードの6回、火消しに成功して破顔した。国指定難病「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」から復活を遂げて、23年日本シリーズ以来となる甲子園のお立ち台。「ただいまです。(景色は)アツアツです」。決めゼリフでファンに喜びを伝えた。
1-0の6回2死一、三塁。湯浅の名前がコールされると、甲子園は大歓声に包まれた。延長戦で同点時の登板はあったが、僅差のリードでは初めて。暴投もありながら中田は四球。2死満塁から高橋周にも2球連続でボールだったが、高め146キロで一ゴロに仕留めた。「逃げてちゃダメだと思いますし、攻めながら抑えられたのが良かった」。復帰後は6試合連続で無失点と役割を全うした。
「母の日」は22年も敵地バンテリンドームでお立ち台に上がっていた。当時は難病を患う前。ここ3年間は特に母衣子さん(52)の支えが大きかった。「手術の日もお母さんが福島まで来てくれましたし、本当にどんなときでも支えてくれている。恩返しできるように頑張りたいなと改めて思いました」。この日は球場を訪れていた母に直接、勇姿を届けた。
しびれる場面での登板にも「こういう展開で投げるためにリハビリもやってきた」と前向き。苦難を乗り越え、背番号65が再び輝きを取り戻している。【林亮佑】