
<AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE):横浜1-4アルナスル>◇26日(日本時間27日)◇準々決勝◇サウジアラビア・ジッダ
昨季準優勝の横浜F・マリノスが、ポルトガル代表FWクリスティアノ・ロナウド(40)を擁するアルナスル(サウジアラビア)に1-4と完敗した。
ロナウドらに前半だけで3点を奪われ、後半にMF渡辺皓太(26)が1点を返したが焼け石に水だった。ここまで勝ち上がった3チームはすべて開催国のサウジアラビア勢。国のスポーツ政策の後押しもあって欧州クラブから一流選手を買い集めており、東アジア勢は太刀打ちできない状況が浮き彫りとなった。
◇ ◇ ◇
耐え忍んでいた横浜の“ダム”が決壊した。前半27分にDFデンのクリアミスから先制点を献上。もう流れを止めることはできなかった。4分後に元リバプールのセネガル代表FWサネに鋭い突破からシュートを決められると、同38分には千両役者ロナウドに世界最多を更新するキャリア通算934点目が飛び出した。
「分かっていましたけど、相手の個の力だったり、1人1人のボールを扱う技術に圧倒された」。植中は率直だった。ロナウドやサネだけでない。中盤で縦横無尽にプレーしていたのはインテル・ミラノでも活躍したクロアチア代表MFブロゾビッチ。2得点を挙げたコロンビア代表FWデュランはアストンビラから今年1月31日、移籍金124億円でやってきた気鋭の21歳だ。“分かっていましたけど”は、クラブの懐事情に論点を移すものだった。
今大会3試合が終わり、東地区代表はどこも力負けした。神戸を破って8強に勝ち上がった光州(韓国)はアルヒラルに0-7の大敗。ブリラム(タイ)もまた、マンチェスターCで欧州CL制覇のアルジェリア代表マフレズ、リバプールで活躍した元ブラジル代表フィルミーノらに得点を許し0-3と完敗している。
なぜ東地区のチームはこれほど失点が多いのか? 横浜キスノーボ・ヘッドコーチは「クラブの予算規模が違う。今日戦った相手は自分たちがかけられる金額の選手ではない」。ロナウドの年俸は2億ユーロ(約330億円)とも言われる。カタールW杯の成功を見て「二匹目のどじょう」を狙うサウジアラビアは、2034年W杯開催を目指しスポーツ政策を推し進める。オイルマネーで潤う政府系ファンドの支援もあり、法外な金額で欧州から買い集める。一方で欧州移籍が活発化するJクラブが簡単に勝てる大会ではなくなった。
横浜は大会直前にホーランド監督を電撃解任し、造反したアンデルソンロペスを先発から外す荒療治で臨んだ。しかしそういう背景に関係なく、結果は順当なものだった。勝てなかった悔しさはあれど、勝てない現実も突きつけられた。