
<レンジャーズ0-1ドジャース>◇20日(日本時間21日)◇グローブライフフィールド
【アーリントン(米テキサス州)20日(日本時間21日)=四竈衛】「父親(産休)リスト」に入り、過去2試合を欠場していたドジャース大谷翔平投手(30)が、レンジャーズ戦に「1番DH」でスタメン出場。
3打数無安打1四球と「ダディ1号」はお預けとなったが、地味ながらも決勝点をアシスト。試合は、昨季世界一のド軍がわずか3安打ながら、1-0で23年レ軍を振り切り、敵地3連戦を勝ち越した。
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出産付き添いの疲れなのか、復帰戦での気負いなのか。敵地ながら、大谷が第1打席に向かう際には大歓声が起こり、スタンドには「翔平パパ おめでとう」などのボードを掲げるファンらが陣取った。
開幕以来、無傷の3連勝と絶好調のレ軍先発マーレに対し、大谷はフルスイングのタイミングが合わず、第3打席まで凡退。ロバーツ監督が「かなりアグレッシブだった。2日間休んで、少し心配し過ぎたんだろう」と分析したように、快音は聞こえてこなかった。
それでも、要所では「黒子」に撤するかのように地道に貢献した。緊迫した投手戦が続き、両軍無得点で迎えた8回。無死一塁で打席に向かった大谷は、自分で決めに行くのではなく、つなぎの意識を優先した。日本ハム時代の同僚でもあるレ軍マーティンと対戦。打者有利なカウント3-1から丁寧に球筋を見極め、四球で好機を広げた。
1点にこだわる思いは、2番ベッツも同じだった。逆方向の右飛を放ち、二塁走者を三塁へ進めた。ここで3番フリーマンがきっちりと左犠飛を放ち、ようやく均衡を破った。
一塁走者の大谷は二塁へタッチアップ態勢に入ったものの、リスクを回避して自重。派手な1発攻勢はなくとも、全員が基本的なチームプレーに専念した。ロバーツ監督も「すばらしく生産的なイニングだった」と、MVPトリオの「スモールベースボール」を納得の表情で振り返った。投げては、7投手の好継投で虎の子の1点を守り切り、難敵相手の3連戦を勝ち越した。
豪快な「祝砲」こそ出なかったとはいえ、「ダディ大谷」は終始、笑顔のオンパレードだった。デーゲームの開始前、やや眠そうな表情でクラブハウスに到着すると、同僚、コーチらから次々に祝福の言葉を掛けられた。わずか3安打でのド軍勝利後も、満面の笑みを浮かべながらウイニングサークルに加わった。
オフ期間、「初めてなので、緊張と楽しみが両方ともにある」と話していた大谷家にとってのビッグイベントは、ひとまず無事に終了。ド軍も過去6戦5勝と、本来の流れを取り戻してきた。幸せパワーいっぱいの大谷が、一気に上昇気流に乗りそうな状況が整ってきた。