
<明治安田J1:神戸1-0町田>◇20日◇第11節◇ノエスタ
ヴィッセル神戸DF本多勇喜(34)が、驚異的なパフォーマンスでチームを今季初の3連勝に導いた。
前半アディショナルタイム、町田FW藤尾翔太(23)が右サイドからの折り返しに合わせてボレー。フリーで打たれた決定的なこのシュートを、本多がゴールライン手前で食い止めた。試合の流れを左右したと言っても過言ではないビッグプレー。それでも本多は「たまたま目の前にありました」と笑い、その後も落ち着いた様子で「ブロックできたことは良かったけど、ファーに流れてきた時に、自分もゴールのカバーに入ってしまった。折り返しに対応できれば良かった」と振り返った。
16日川崎フロンターレ戦で負傷したDFマテウス・トゥーレル(26)が不在となったこの試合では、同戦の後半と同じくセンターバックで起用された。
主にマッチアップしたのは、194センチの町田FWオ・セフン(26)。体格を生かしたポストプレーを得意とするストライカーは、186センチのDF山川哲史(27)ではなく、173センチの本多と競るための位置取りを多くしてきたが、それが効果的ではないことを証明してみせた。「相手はロングボールが多いチーム。そこで負けたらチームとして成り立たないと思った」という本多は、抜群の跳躍力と先を読んだインターセプトで町田の長身FWをシャットアウト。「勝てる自信はあった」という言葉通り、21センチもの身長差をものともしないカットを繰り返した。
そのパフォーマンスは、左サイドバックで出場した鍬先祐弥(26)が思わず笑ってしまうほどすさまじいものだった。「本ちゃんじゃなかったらちょっとダメだったなっていうぐらい助けられた。オ・セフン選手の頭2つ上ぐらいから(ヘディングで)たたいているのを見て、この人化け物だなと思った(笑い)」。昨季ベストイレブンのトゥーレルを欠く不安を拭い去った34歳が、今季4度目のクリーンシートをもたらした。
この勝利で神戸は首位と勝ち点差を「3」に縮めることに成功したが、本多は喜びにひたることなく先を見据える。「3連勝できたことはチームとしてめちゃくちゃでかいと思うけど、まだまだ僕たちはやらなければいけない」。負傷交代した2月22日の名古屋グランパス戦から、本多の離脱期間は5戦で1勝2分け2敗とチームは苦しんだが、復帰後に出場した試合は4戦全勝。昨季までの連覇を支えてきたベテランが、3連覇を目指す神戸をさらに1歩前進させた。【永田淳】