
<西武2-1ソフトバンク>◇18日◇ベルーナドーム
西武が強くなってきた。開幕4連敗から、4月中旬に勝率5割に達した。ある球団関係者が“変化”を証言した。「試合前のシートノック、ぜひ見てください」。確かにそこに変化の一端がにじみ出る。
首脳陣がガラッと変わった。文化も変わる。大引内野守備走塁コーチが着任当初を証言する。「私も現役時代、3球団を経験しました。そこと比較して、ノックで必要な声や元気が欠落していました。声は自分を守るもの。若手にも中堅にも、みんなに声の大事さを伝えました」。
今はシートノックで中堅の源田や外崎も声が響く。各自の存在を強く感じながら、全員が責任をもって動く。去年までゼロだったわけではない。外崎は「気付かぬうちに緊張感が少し失われていたのはあったかもしれないです」と回想する。91敗はチームを痛めた。シートノックの本質も失われ、惰性になっていた。
大引コーチだけでない。鳥越ヘッドも感じた。「ノックがただのウオーミングアップになってた。それじゃプロじゃない。あそこでミスが出ると試合でもミスする確率が上がるから」。春季キャンプから“当たり前のハードル”を上げることを徹底。野球の全てにおいて集中力が高まった。
集中力とは-。鳥越ヘッドが言う。「1対1の勝負に入る時、心配事やひるむ気持ちがあると集中力は欠如する。それがなく、シンプルに勝負に徹する。それが集中力かな」。難しい移動ゲームのこの日。1番西川は初回はいきなりファウル5球で粘り、7回は初球のひと振りで決めた。低すぎた下馬評を一丸で見返している。【金子真仁】