
阪神ドラフト1位伊原陵人投手(24)の先発デビューが決まった。中日3回戦(甲子園)が雨天中止となった13日、藤川球児監督(44)が「伊原には、先発に行ってもらう」と明言。19日広島戦(甲子園)でのプロ初先発が濃厚となった。
中継ぎの一員として開幕1軍入りを果たしてから、ここまで6試合連続無失点と無双中。新人王の可能性も見いだす指揮官の思いを受けて、即戦力ルーキーが真っさらなマウンドに上がる。
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藤川監督の言葉の端々に、ドラ1左腕への期待があふれていた。「伊原には次なるステージ、先発に行ってもらう。伊原は今のポジションでは、もったいないというところですね」。快投を続けるルーキーを、先発へ転向させることを明かした。
中継ぎとして開幕1軍入りし、3月30日広島戦でデビューしてから6試合連続、8回1/3を無失点。前日12日の中日戦では6回に登板し、回またぎもものともせずに2回1安打無失点に抑えていた。「物おじしないし、どこでもしっかり投げてきている。ドラフト1位らしく、全球団あいさつ回りじゃないけど、びしっと行ったというところではもう十分じゃないかな」。セ・リーグの全5球団相手に堂々たる投げっぷりを見せ、次は19日広島戦での初先発が濃厚。指揮官はさらに、先の未来を見ている。
「5回以上投げる光景が徐々に、間違いなく出てくるでしょうから、想像がつくということで。期待していますよ、そりゃ。新人王もありますしね」。限られた選手しか手にすることのできないタイトルの権利。即戦力ルーキーへ、その可能性を見いだした。
期待を受けた伊原は、マウンド同様にどっしりと地に足がついていた。「もちろん目標にはしていますけど、新人王に向けたことだけになると、個人的なことになる。チームの勝利に貢献すれば、そういう結果につながってくると思う」。開幕から2週間あまりでの先発挑戦も全く問題なし。社会人野球を経た経験がものを言う。「日常茶飯事でした。先発しても次の日、中継ぎもしてましたし、それは大学からもずっとそう。中継ぎと先発で、自分の中であまり差がない。とにかくチームが勝つために自分のできることを一生懸命したい」。フレッシュな先発のピースが、チームを勢いづける。【磯綾乃】