
サッカー日本代表の森保一監督(56)が13日、東京・国立競技場での町田-浦和戦を視察後にメディア取材に応じ、今季J1について「白熱した試合が多い」と印象を語った。
この日、町田が敗れて前節までの首位から陥落。代わって福岡が1996年のJリーグ昇格以降、初めての首位に立った。この福岡は開幕から3連敗したが、その後7試合に負けなし。一方で横浜が19位、名古屋が最下位20位に低迷している。
森保監督は「経験のあるチームであったり、Jリーグの予算規模が大きかったりというところだったり、いわゆるビッグクラブが当たり前のように上位にいるヨーロッパのリーグとは違って、J1で言えば1位から20位まで本当にどこが勝ってもおかしくない。世界で見ても、特別な戦いがJリーグにはある。本当にそれぞれのチームが色んなコンセプトのもとに戦いが繰り広げられている。順位も本当に分からないというのはJリーグの良さかなと思います」と見解を述べた。
7月の東アジアE-1選手権(韓国)はJ1から大半のメンバーを選ぶ。それだけに選考も難しくなりそうだ。
「できれば、J3よりもJ2、J2よりもJ1ということであり、より高いカテゴリーにいるところから選ばせてもらうという優先順位は付けさせていただきます。J1の中でも、できるだけ結果を出している上位クラブから選ぶべきかなというところは優先順位を付けていかないといけないかなと思いながら、順位が変動するので。やはり1位から20位までのどのクラブにもいい選手がいるというところをニュートラルに見た中で、最終的に決めなければいけない期限の時に、どうしていくか、チーム作りを考えていきたい」
付け加えて、「いっぱいJリーグを見られている皆さんがいるので、メディア上でどんどんいい選手を上げていただいて、(それをもって)私もチェックさせていただいて、最後は決めていきたいなと思います」とも話した。
今季J1ではアディショナルタイムでの得点が全体の8%ほども占めている。「ドーハの悲劇」を体験している森保監督に対し、ドーハの悲劇から学ぶべきところでは? というウイットに富んだ質問が飛び出した。
すると「そこは考え方というか見方も色々とあると思いますし、追いつかれた側からすれば、追いつくためにギアを上げられるっていうところも言えると思いますし、今おっしゃられた通りに、追いつかれた側からすれば、なぜ追いつかれたのかっていうことを考える意味では、追いつかれる方も守りに入って追いつかれてしまってやられたのか、こう最後に勝ちきりにいってやられたのかというところとまた違うと思いますし、いろんな要因があるのかなと思います」
その上で自身の体験としての「ドーハの悲劇」からの教訓をこう語った。
「私自身の話で言うと、ドーハの経験は守りだけに入ってしまった。それが結局、守ることにはつながらなかったというところは、やはりボールを奪いにいくとか、攻めの守り、攻める意識を持たないといけないっていうのは、私自身の学びの中に。ドーハの経験を生かしているというところはあります。Jリーグの中でなかなか結果が出ていないチームは、最後は勝ちきるために硬くなってしまっているというところはあるのかなと」
また、スタッド・ランスFW中村敬斗がフランス1部で今季11得点と2桁を記録したことについて振られると「本人の力があるということの証しかなと思いますし、彼の努力によるもの。真摯(しんし)に100%の努力を代表の活動でもやってくれていますし、より高い基準の中で貪欲に、ハングリーに、野心を持って突き抜けていこうというところが見える」と、その姿勢を絶賛した。
そして「ランスに加入した当初はスタッフからなかなか認められいところがあったかもしれないですけど、やり続けることで彼自身の能力を認めてもらえたということと、結果にこだわっているという部分、彼は得点を奪える選手だっていうところは、指導者側からすると最高の評価ができるところかなと思います。でも本当にシュートがうまいと思います。打ち出の小づちのように。振れば入るみたいな、確率が高いんじゃないですかね」と笑顔で話した。