
<日本ハム1-2西武>◇12日◇エスコンフィールド
「0」続きだった西武が執念で勝った。26イニング連続無得点で迎えた8回2死一、三塁。9番源田壮亮内野手(32)が人生初という一塁への足からのスライディングで内野安打をもぎとり、先制適時打にした。9回にも得点し、今季11試合目にして初の2イニング連続得点。8回無失点と好投した隅田知一郎投手(25)も報われ、今季初めて日本ハムにも白星を挙げた。
◇ ◇ ◇
走り出してから約3・9秒間のどこでそうしようと判断したのか、源田に記憶はない。「とっさに。とっさにです」。一、二塁間への詰まった小飛球がバウンドし、二塁ゴロか内野安打か間一髪。右足から一塁に滑り込んだ。野球人生で「初めてです」というプレーで、判定は見事セーフに。西武に27イニングぶりに得点が入り、源田はパンッと手をたたいた。
貴重な右足が一塁ベースに強くささった。3回、三塁を回った渡部聖が同じような強さで地面にさし、右足首を痛めていた。よぎらなかったのか。源田は「全然」と即答。「いや、もう、まじで勝ちたかったんで」と目尻を下げた。前夜は3三振。6番打者で果たせなかった役割を翌日、9番打者として果たした。
オフの自らの騒動で自らレギュラーを撤回して始まった、この春。「逃げも隠れも、するつもりないので」と野球道に励んだ。周囲も“その後”の源田を見ていた。西口監督は「精力的にやっているし、他の野手を投手のところに行かせたり。いろいろ周りを見てできている」と信頼する。
北海道にも大勢のファンが押しかける。開幕3連敗の悔しさにまずは一矢報いた。「練習からもう1回ちゃんとやって、明日も打ちたいですね。それだけです。勝てばいいっす。勝てばいい」。汗をぬぐいながらそう言って、また懇願の顔になる。試合前には中村剛が「源田、頑張れ!!」と甲高く声を張っていた。源田、頑張った。【金子真仁】