
<とっておきメモ>
<オリックス1-1ソフトバンク>◇10日◇京セラドーム大阪
福岡が誇るスピードスターが金字塔を打ち立てた。ソフトバンク周東佑京内野手(29)が史上80人目となる通算200盗塁を達成。出場603試合目はプロ野球史上11番目のスピード達成で、球団では89年の福岡移転後最速となった。自己最長を更新する開幕11試合連続安打も放ち、不動のリードオフマンは絶好調だ。チームは今季初の延長12回引き分けで4位タイに浮上した。
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周東には最近、人として成長させられる出来事があった。開幕2戦目の3月29日。5打席に立って4三振、盗塁死まで記録した。打席でバットをたたきつけそうになり、微妙な飛球を捕球できないたびにグラウンドで天を仰いだ。試合後は爽やかな選手会長が珍しく無言かつ早歩きで帰路へ。33年ぶりとなる開幕連敗スタートの全責任を負うかのように怒りを爆発させた。
「僕、イライラしてたでしょ? 本当に自分が情けなかった」
自覚していた。同時に「あんな姿を見せちゃダメだった。選手会長ですし。みんなが見ている」と猛省した。感情の制御について山川や今宮ら先輩たちに相談した。山川からは「俺も若い時はそうだった。年を重ねると疲れちゃうからイライラしなくなったけどね」と励ましを受け、前を向いた。胸に宿る勝利への執念を再確認し、選手会長としての真の自覚を持った。
翌30日も敗れ、開幕3連敗を喫した。成績は悪化しても2戦目とは違う。堂々とプレーし、帰路は直立不動で取材に対応した。「もっと自覚を持たないとですね」。周東はチームの柱として戦っている。【ソフトバンク担当=只松憲】