
<ドジャース8-5タイガース>◇28日(日本時間29日)◇ドジャースタジアム
【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)28日(日本時間29日)=斎藤庸裕】「1番DH」で出場したドジャース大谷翔平投手(30)が、逆転サヨナラの勢いを生んだ。延長10回の第5打席で右前打を放ち、開幕から4試合連続安打。2番ムーキー・ベッツ内野手(31)の決勝弾につなげた。6回に3ランを放ったフレディ・フリーマン内野手(35)とMVPトリオがそろい踏みで勝利に貢献。先発の山本由伸投手(26)も5回2失点で粘り、メジャー自己最多の10奪三振で試合を作った。29日(同30日)にはメジャー初登板をかけ、佐々木朗希投手(23)が先発する。
◇ ◇ ◇
大谷に気迫がこもっていた。2点を追う展開から同点に追いついた延長10回1死一塁、右腕ブリスキーから右前打を放つと、右拳を握ってガッツポーズを決めた。サヨナラの好機を広げ、2番ベッツが粘りながら8球目を捉えて劇的3ラン。まるでプレーオフを戦っているかのような雰囲気が充満した。東京での開幕シリーズから4連勝。ロバーツ監督は「ここまでは、私が経験してきた中で最高の1週間だ」と目を細めた。
MVPトリオが、ド軍の粘り強さをけん引した。元同僚の右腕フラーティを相手に沈黙し、5回まで1安打無得点。2点リードされたが、3番フリーマンが同点弾で流れを戻すと、ベッツが勝ち越し本塁打とサヨナラ弾をマーク。本拠地開幕の直前まで嘔吐(おうと)や体調不良が続き、最大11キロの体重減少で苦しんでいた。現在は約75キロでまだ3・5キロ前後の増量が必要だが、「強さを失った訳ではないし、僕は強いまま。(体重が減っても)楽しんで打っているよ」と前向き。万全ではなくても練習を続けてきた成果が、この日の2本塁打につながった。
もっとも、ベッツの劇的サヨナラ弾をアシストしたのが、前後を打つ大谷とフリーマンでもあった。右前打を放った大谷は、前進していた相手の内野守備を見て初球で二塁へ進塁。併殺打となるリスクがなくなった。ベッツは「ショウヘイが二塁へ行って、プレッシャーも薄くなり、後ろにはフリーマンがいる。彼が、こういう時に打ってくれるのをみんな分かっているから、リラックスできたよ」とコメント。MVPトリオの相乗効果で、互いがパフォーマンスを支えている。
開幕4連勝は球団ではワールドシリーズを制覇した81年以来44年ぶり。ロバーツ監督は「我々はただ、諦めない。全員で、戦い続ける。みんながとてもいい仕事をしてくれた」とうなずいた。2点先制され、追いつき、延長戦で2点勝ち越され、それでも逆転サヨナラで4連勝。昨季ポストシーズンを勝ち抜いたド軍の粘り強さは今季も健在だ。
▼ドジャースが開幕4連勝。開幕4連勝は81年の6連勝以来44年ぶり。同年は5度目のワールドシリーズを果たしている。前年度ワールドシリーズ王者の開幕4連勝以上は、85年タイガース(6連勝)以来40年ぶりのべ9チーム目。
▼ベッツが8回に一時勝ち越しとなるソロ、延長10回にサヨナラ3ラン。ベッツのサヨナラ本塁打は昨年9月22日ロッキーズ戦以来3本目で、サヨナラを含む1試合2本塁打以上は初めて。MLBコムのラングス記者によると球団拡張期の61年以降、サヨナラを含む8回以降に複数の勝ち越し本塁打は、15年8月2日イーシア(ドジャース)以来10年ぶり7人目。