
前中日の中島宏之内野手(42)が27日、自身のインスタグラムで現役を引退することを表明した。
00年ドラフト5位で西武に入団。4年目から遊撃の不動のレギュラーで活躍した。大リーグのアスレチックスを経て、オリックス、巨人、中日と渡り歩き、NPB通算1928安打をマークした。
日本代表でもプレーし、08年には北京五輪出場、09年の第2回WBCでは世界一に貢献した希代のバットマンが、静かにバットを置いた。
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中島は、自身の去就がネット記事になる度に「みなさん、僕のことを記事にしてくれて、ありがたいです」と笑った。一部には事実無根の話も見られたが、中島は「どこからの情報なんよ」と突っ込んだ。「僕のことを知ってる人は、真実を知ってくれてますから。せっかくなら面白く書いてほしいですけどね」とほほ笑んだ。
あの時も、多くは語らず、思いは胸に秘めた。大リーグのアスレチックスを退団し、日米の複数球団との交渉に臨んだ14年オフ、NPBからは古巣の西武、阪神、DeNA、中日、オリックスからオファーが届いた。「西武でプレーしたから、今の僕がある。やっぱり特別な思いはあります」と思いを明かし、代理人を通じ、交渉に入った。
「必要としてくれるチームに行きたいです」と各球団とじっくりと話をする意向で、交渉には時間を要した。その過程で、西武からは条件面を白紙にする意向を伝えられた。代理人を通じた交渉で球団の真意もわからず、ショックを受けた。悩みに悩んだ末に、積極補強で優勝に本気度を示し、愛着ある関西のオリックスへの入団を決断した。
昨年11月、同い年でレスリングで五輪3連覇を達成した吉田沙保里らから勧められ、インスタグラムを始めた。公の場で多くを語るタイプではなかったが、自身の思いが少しでも伝わる場所になればとの思いも込められた。「24年間、たくさんの応援をありがとう」。この日、更新されたインスタグラムで真っすぐな思いを伝えた。【久保賢吾】