
<2025フジパンCUP第31回関西U-11サッカー大会>◇24日◇大阪・J-GREEN堺◇カップ(予選リーグ1位)トーナメント準決勝、決勝、プレート(同2位)&ブロンズ(同3位)の各トーナメント決勝、3位決定戦◇20分ハーフ
京都長岡京SS(京都)が決勝でクレアールFC(奈良)を2-0で下し、98年以来27年ぶりの優勝を飾った。前半14分にFP末永龍心(5年)が高速ドリブルからネットを揺らして先制し、同20分には末永の突破から、最後はFP近原俊葵(5年)が決めて追加点。後半は出足の良くなったクレアールの攻撃を受ける時間帯もあったが、最後まで守り切って関西制覇を果たした。
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元日本代表MF家長昭博、同FW宇佐美貴史を輩出してきた京都の名門が、家長を擁した第4回大会以来の頂点に立った。
準決勝のグランディールFC戦では、先に2点を奪われながら逆転勝ち。最前線でのキープ力や推進力、パンチ力のある左足シュートで2得点に絡んだFP中島理々斗(5年)が「最初はみんな急ぎすぎていたけど、途中から冷静になってやりやすくなった」と振り返った通り、流れを引き戻して劇的勝利を飾った。
決勝のクレアールFC戦では、個人とチームが融合した戦いで相手を上回った。右サイドを切り裂いて先制弾を決めた末永は「スピードに乗ったドリブルが得意。あれは自分の形でした」と破顔。前半の2ゴールで勢いに乗った緑の集団は、最後まで全体が連動した動きで相手をクリーンシートに抑え、歓喜の瞬間を迎えた。
偉大なOBの存在と伝統の指導が、チームを引き上げてきた。家長と宇佐美は正月の初蹴りなど、事あるごとに顔を出して後輩を激励。憧れの選手と会話もした末永は「うまい選手がいたチームを背負っているので、まねしていきたい」。日の丸もつけた先輩を意識し、鍛錬を重ねて長岡京らしい技巧派に育った。
名手2人の成長に携わり、この日も指揮を執った小島重毅監督(64)は、喜ぶ選手を「サッカー好きの集まりがやってくれた」と穏やかな笑顔で見守った。大切にしてきたのは「型にはめず、原石を原石のまま送り出すだけ」。謙虚に語った名選手輩出の極意が、この日の27年ぶり戴冠をもたらした。【永田淳】
○…優勝には1歩届かなかったが、クレアールFCが初の決勝進出を果たした。2点先行されながらも、後半には果敢な守備から前に出て惜しい場面を連発。中盤では女子FP堀内葵(5年)が「負けず嫌いなので」と男子顔負けの体を張ったプレーで中盤を締め、前線では出川春貴(5年)が推進力を発揮。身体能力に頼らない確かな技術力で、存在感を示した。前身からクレアールになって10年目で関西大会準優勝に導いた黒川浩司監督は「今後も基本を大事にして、中学年代につながるようにしていきたい」と話した。
○…大会アンバサダーの元日本代表MF北澤豪氏(56)によるサッカー教室が決勝前に行われ、大会出場チームの約200人が参加した。リフティングや対人メニューなどが続き、最後は北澤氏が選抜した選手によるミニゲームで締められた。北澤氏はマイク片手に奔走。「日本代表がW杯出場を決めたけど、みんなの世代では優勝を目指せるように」と選手を鼓舞した。ミニゲームでは「技術的にいい選手だけでなく、監督のように声を出していた選手や、2人組のメニューで自分と組みたいと言ってくれた選手たち。いろんな褒めどころを考えて」とメンバーを選考し、プレーを楽しむことと同時に自己アピールの重要性を伝えた。
中継解説もした北澤氏は「より個性が出てきている。それぞれコンセプトがあって、取り組みが試合に反映されていた」と多様なスタイルのチーム出現をポジティブに捉えていた。
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