
<ワールドカップ(W杯)北中米大会アジア最終予選:日本2-0バーレーン>◇20日◇C組◇第7戦◇埼玉
MF鎌田大地(28=クリスタルパレス)が8大会連続8度目の扉を開いた。後半21分、MF久保のパスに抜け出して中央で受け、右足でゴール左に待望の先制点。嫌な雰囲気が漂い始めた空気を一変させ、W杯への勝利を呼び込んだ。移籍先で苦しみながらも成長を続けるテクニシャンが、また大一番で結果を出した。
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途中出場から、わずか3分で均衡を破った。MF鎌田が先制点。0-0の後半18分に投入され、同21分にネットを揺らして聖地埼スタに歓喜の瞬間をもたらした背番号15は「途中から出るには一番いい状態が整っていた。自分が決められたらいいなと思っていた」と理想の流れに頬を緩めた。
今回の最終予選では2点目。いずれも歴史に残る舞台で貴重な1発を決めた。昨年10月のサウジアラビア戦では、果敢にゴール前に飛び込んで得点。敵地ジッダでの初勝利を呼び込む日本人初ゴールで、日本を最終予選3連勝に導いて、最速のW杯へ勢いを与えた。
21年10月のカタール大会最終予選サウジアラビア戦では、先発出場しながら低調に終わり、そこから約8カ月も代表から離れる契機となった。当時のリベンジを果たすとともに、己の力を証明する1点となった。
ブンデスリーガからセリエAを経て、世界最高峰のプレミアリーグに戦いの場を移してきた。フランクフルトでは中心選手として輝きながら、ラツィオでは出場機会に恵まれず、現在のクリスタルパレスでも途中出場と苦境は続く。それでも「毎シーズン、始まる前に自分が思い描いてたようにいったことはない」と足元を見つめ、努力を重ねてきた。「こういう試合で点を取れる人生、ではなかった。でもあのランニングも普段からやっているからこそできたこと。努力の証かなと思う」。苦境を成長の糧としてきた男が、日本をW杯に導いた。【永田淳】