
<センバツ高校野球:横浜4-2市和歌山>◇19日◇1回戦
<敗戦を越えて:市和歌山・井上漸晟(ぜんせい)内野手(2年)>
井上家11人分の大応援に背中を押され、憧れの舞台に足を踏み入れた。「6番一塁」で出場した背番号3の三男漸晟は、3打数無安打で迎えた2点を追う9回2死の第4打席、横浜奥村頼に中飛に打ち取られた。最後の打者となり、うなだれた。
「家族にいいところを見せたかったんですけど、情けない結果になってしまって、申し訳ないです」
10人兄弟の上から5番目の三男の晴れ舞台に、和歌山・新宮市から地元で建設会社を営む父真吾さん(47)と母味弥さん(41)、次女陽音(りおん)さん、長男槙晟(てんせい)さん、次男慎晟(てんせい)さん、双子の四男天之真(そらのしん)くんと五男王之真(きみのしん)くん、三女采音(みおん)ちゃん、六男真言(しんげん)くん、七男源乃城(げんのじょう)くんが応援にかけつけた。長女百音(ねおん)さんは仕事で来られなかったが、家族全員の思いを背に優勝候補に食らいついた。
幼少の弟妹からは「小さいパパ」を略して「ちいパパ」の愛称で呼ばれる。母味弥さんは「すごく家族思いで、ムードメーカーですね」と笑顔。現在は親元を離れ、学校近くで1人暮らしをしているが、家族の存在について漸晟は「一番頼りになって、何でも言える。いつも背中を押してもらって、一番大きい存在です」と感謝は尽きない。「夏にまた甲子園に戻ってきて、家族に自分の成長した姿をみせたいです」。今度こそ「ちいパパ」の勇姿をみせ、大家族を聖地でドッと沸かせる。【古財稜明】