
<センバツ高校野球:花巻東10-2米子松蔭>◇18日◇1回戦
花巻東の金野快投手(3年)が甲子園のマウンドを踏んだ。
小学6年生の時にはすでに「佐々木朗希2世」と三陸でうわさになっていた。
19年5月3日、岩手・釜石市の山あいにある平田(へいた)球場に早朝3時半から行列ができた。高校生史上最速163キロをマークした、大船渡・佐々木を見るために。
フィーバーがわき起こる球場で、地元関係者に「この近所に朗希2世か? みたいに言われている小学生がいるんだよ」と教えられた。それが金野少年だった。
小学6年生にして身長163センチ。周りの友人たちより文字通り頭1つ大きい。キャッチボールの相手をしてもらった。当時はまだ最速105キロ。でも伸びがいい。野球教室では工藤公康氏から「直すところがない。お願いだから大事に育てて下さい」とお墨付きをもらったという。
同じ三陸出身の佐々木のことを「すごい。あこがれる存在です」と目を輝かせていた。花巻シニアに進んで東北選抜に選ばれると、背番号17を付けた。
背がさらに大きくなっても「自分もあんなふうになりたいなってずっと思っていました」と憧れ続けた。22年8月3日には楽天-ロッテ(楽天生命パーク)を一塁側内野席で観戦。
「すごく速くてびっくりしました。何より、試合前にライト側でキャッチボールしている姿が大きく、光り輝いてまぶしく見えました。日本中、世界中から注目される選手が自分と同じ岩手県から出るなんてすばらしいと思うし、僕も少しでも近づけるように日々頑張りたいです」
そう話してから2年半少々、まずは甲子園の大舞台に立った。
記者が担当する西武の試合を取材しながら、甲子園の様子も気にしていると、旧知のNPBスカウトから連絡が来た。
「甲子園、見てますか? あの金野快ですよ。感無量ですよね。あの記事からここまで大きくなって」
まだ佐々木ほどの球速はなくても、大きな体で真上から投げ下ろすスタイルは将来性十分だ。
ドジャースへ羽ばたいた佐々木朗希がいよいよメジャーデビューする前日。次なる世代も順調に育っている。【金子真仁】