
<プレシーズンゲーム:阪神3-0ドジャース>◇16日◇東京ドーム
阪神佐藤輝明内野手(26)が、世界一軍団から衝撃アーチを放った。ドジャースとのプレシーズンゲームで、サイ・ヤング賞2度の左腕ブレーク・スネル投手(32)から右翼席に先制3ランを運んだ。速い直球への対応力を新たな「引き出し」に、シーズン開幕へ弾みをつけた。
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佐藤輝は興奮を抑えられなかった。ベンチで出迎える仲間とハイタッチをするたびに1度、2度、3度と、声にならない雄たけびを思わず上げた。「最高の結果になって良かった。すごく自信になる」。0-0の4回無死一、三塁。目の前にいるのは、サイ・ヤング賞2度の左腕スネル。追い込まれてから、152キロ高め直球に少し詰まりながらも、最後まで振り抜いた。鋭い打球は、すでに沸き立つ阪神ファンが待つ右翼席へ届いた。
「ちょっと信じられない感じですけど、本当によく打ったなと思います」。素直な感情を吐露しながらも、打席の中では落ち着いていた。試合前にはメジャー実績十分な左腕の投球映像を見てきっちり研究。「準備はしっかりしたつもりでしたけどね。(球が)やっぱり強いし。投げてから時間がないなと思いました」。打席に立ち剛速球を見ても、冷静にコンパクトな打ち方で対応。スネルも落胆の色を隠せないほど、会心の一撃につなげた。
前日15日のカブス戦では、4打数1安打、1打点、1盗塁。この日もメジャー軍団との対決で結果を残し、新たな「引き出し」を手にした。「速いボールに対応するという意味で言えば、今日は本当にうまく対応できた。対応力というところでは、自分の中の引き出しが1つ増えた気がした」。藤川監督からも「アグレッシブに暴れ回ってくれていた」と豪快な1発をたたえられた。
来年3月に行われるWBC。世界最高峰の相手との戦いを終え、侍ジャパンへの思いを聞かれたが、冷静だった。「シーズンをしっかり頑張って、結果を残した人がいけると思うので、はい。頑張ります」。まずはリーグ王座奪還へ、虎の主砲としてアーチをかける。【磯綾乃】