国内FA権を行使せず、チーム残留を決めた阪神坂本誠志郎捕手(31)が13日、甲子園を訪れ、現在の心境や決断までの経緯を明かした。
「僕は兵庫県出身で、地元で縁のあるタイガースに入りまして、縁とか恩があると思っていた。23年に優勝して、日本一になって、今年、悔しい思いをして。チームとしても個人的にも悔しい思いをたくさんした。タイガースでもう1回、やり返したい。みんなでもう1回、そこを目指していきたいというのも、大きな要因でした」
昨季、扇の要として18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に大きく貢献した。今季も梅野隆太郎捕手(33)と併用される形で、投手陣を引っ張った。球団からも当然、強く慰留されていた。
「来季からも力になってほしいということは、たくさん言っていただいた。これまでタイガースで金本監督、矢野監督、岡田監督に使っていただいて、いただいた権利。正直、自分が野球界でどういう評価をされていて、どういう位置にいるのか知りたい思いは、ないことはなかった。でもタイガースで、すごく評価していただいたというのと、必要とされていると感じることができました」
現役をともにした藤川球児監督(44)にも電話で連絡を入れた。歓迎の言葉を受け取り「責任を持ってやります」「覚悟を持ってやっていこう」という、やりとりがあったという。
「もうグラウンドでやるだけだと思う。チームで年齢的に立場は上の方になるので、責任を持って。みんなと一緒にまた野球ができるという喜びも感じながら、結果で恩返ししたいと思います」。甲子園やファンへの思いにも言及した。
「いろいろなことを考えている中で、やっぱり優勝、日本一の記憶、シーンというのは出てきました。甲子園球場の捕手のポジションに座って、選手の中で1人だけ反対を向いて、フィールドを見わたしたときに、たくさんのタイガースファンの前で野球ができる幸せも『こんなことはないな』と感じましたし、その景色をこれからも見ていきたい思いが出てきた。そのポジションで、その景色をずっと見ながら、みなさんに喜んでいただけるようにやっていきたい」
明大から15年ドラフト2位で入団し、名実ともに人気選手に成長した。アマチュア時代から主将を務めるリーダーシップも健在で、人望も確か。節目のプロ10年目を迎える来季は、さらに存在感を高めそうだ。