堅守崩壊させたエムバペ＝勝利呼ぶドリブル突破―Ｗ杯サッカー・フランス

　フランスのエースがゴールへの道を切り開いた。準決勝前までオウンゴールによる１失点だけだったモロッコの堅守を、エムバペが崩壊させた。 　前半５分。ペナルティーエリア内に走り込み、グリーズマンからのパスを直接右足でシュート。相手ＤＦにブロックされてもすぐに体勢を立て直し、今度は左足を振り抜いた。こぼれたボールから先制点が生まれ、歓喜の輪へ駆け寄った。 　先制後は思わぬ劣勢を強いられたが、１―０の後半３４分。ペナルティーエリア内の鋭いドリブルで２人をかわし、低い弾道のシュート。相手に当たったボールを味方が押し込んだ。狭いエリアでも巧みに進入していくエムバペの真骨頂を発揮し、勝利を決定付けた。 　所属するパリ・サンジェルマン（フランス）の同僚、ハキミと左サイドで激しくマッチアップ。エムバペは最高時速３５．２キロのスプリントを見せたが、快足ＤＦにマークされ、なかなか自由にプレーできなかった。後半２０分にジルーに代わってチュラムが入ると、エムバペは中央へポジションを変更。これが追加点につながり、デシャン監督の采配が的中した。 　前回大会は１９歳ながら４ゴールを挙げ、優勝の原動力となった。世界屈指のストライカーに成長し、今大会はメッシと並んで得点ランキング首位の計５ゴール。勝利につながる仕事をこなす。 　試合後はハキミと抱擁。自身のインスタグラムに「みんな君がやったことを誇りに思っている。歴史をつくったんだ」とつづり、ねぎらった。大会６０年ぶりで史上３チーム目の連覇まで、あと１勝。歴史にその名を刻む。　（アルホル時事） 【時事通信社】 〔写真説明〕後半、ゴール前でシュートするフランスのエムバペ（左から２人目）＝１４日、アルホル（ＡＦＰ時事）