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玉鷲、信じ抜いた相撲=「記録より生きざま」―大相撲秋場所


 最後まで玉鷲の攻めだった。強烈な右のはず押しで高安の体を浮かすと、左の喉輪でとどめ。2度目の賜杯を抱いても、表情は変えない。その理由は「家に帰ったら、しっかり泣くと思う」から。関取最年長の37歳がにやりと笑った。  この3日ほどは優勝を意識し、緊張で寝付けなかった。そんなときこそ「どうしようではなく、自分の相撲をどう生かすか」と腹をくくった。終盤になるほど、迷いのない攻めがさえ渡った。  今場所で通算連続出場を歴代単独3位の1463回まで伸ばした「鉄人」。その心の中を占めているのは「記録より、生きざま」だ。変化や引き技などに頼らず、愚直に押し相撲を貫いてきた。  所属力士が4人の小さな部屋。千秋楽の朝も、若い衆2人をまとめて相手にする稽古をしてから場所入りし、「若手に負けたくない気持ちが一番大事」。不断の努力が実った。  2019年初場所で初優勝。再び賜杯を抱きたい思いは「ずっとあった」。11月の九州場所中に38歳の誕生日を迎えるベテランは、いつかは訪れる引退決断の時を聞かれ、「ファンに玉鷲の相撲は面白くないと思われたら」と答えた。さわやかな覚悟を口にする姿は誇らしげだった。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕玉鷲(右)は高安を押し出しで破って優勝を決める=25日、東京・両国国技館 〔写真説明〕優勝を決め、賜杯を手に笑顔を見せる玉鷲=25日、両国国技館(代表撮影) 〔写真説明〕2度目の優勝を果たし、オープンカーの上で笑顔を見せる玉鷲(右)=25日、両国国技館(代表撮影)
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