国民年金は、日本に住んでいる20歳~60歳までのすべての方が加入しなければならない日本の公的年金です。
その国民年金の中で一定の障害状態になった方に対する給付として、障害基礎年金があります。
障害基礎年金は、20歳の誕生日より前の国民年金に加入していない時期に初診日がある傷病であっても受給できるケースがあります。
今回は、20歳前傷病による障害基礎年金について解説していきます。
障害基礎年金の受給要件
障害基礎年金を受給するには、以下のすべての要件を満たしている必要があります。
(1) 障害の原因になった病気やけがの初診日が以下のいずれかの間にあること
・ 国民年金に加入している期間
・ 20歳前または日本国内に居住している60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間
(2) 障害の状態が、障害認定日(障害認定日より後に20歳に達した場合は20歳に達した日)に、障害等級表に定められた1級または2級に該当していること
(3) 初診日の前日を基準に、初診日がある月の前々月までの国民年金の被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること
(ただし、初診日が令和8年4月1日前にある場合には、初診日に65歳未満であれば、初診日の前日において初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がない場合には上記の要件を満たさなくても受給が可能です。)
また、20歳前の国民年金に加入していない期間に初診日がある場合(20歳前傷病による障害基礎年金)は、 国民年金に加入していないため上記の保険料納付要件は不要です。
20歳前傷病による障害基礎年金の受給
20歳前に初診日がある方が障害認定日以後に20歳に達した時(障害認定日が20歳以後の時は障害認定日)に、障害等級に該当する程度の障害の状態が認められれば、障害基礎年金が受給できます。
20歳前傷病による障害基礎年金の支給制限
20歳前傷病による障害基礎年金は、国民年金の加入を条件としていないため、障害基礎年金の支給に関して様々な制限や調整があります。
(1) 所得による支給制限
前年の所得額が472万1,000円を超える場合は、障害基礎年金の受給額全額が支給停止となり、
370万4,000円を超える場合は、障害基礎年金の受給額の2分の1が支給停止になります。
また、扶養親族がいる場合は、扶養親族1人につき所得制限額に38万円が加算されます。
(2) 恩給や労災保険の年金などを受給している場合の支給調整
恩給や労災保険の年金などを受給しているケースでは、恩給や労災保険の年金などの受給額について障害基礎年金の年金額から調整されます。
(3) 海外に居住した場合や刑務所などの矯正施設に入所した場合の支給制限
海外に居住した場合、刑務所などの矯正施設に入所したケースは、障害基礎年金の受給額の全額が支給停止になります。
20歳未満であっても認められれば受給の可能性がある
このように、20歳未満で国民年金の加入前であっても、障害の原因になった病気やけがの初診日が20歳前であれば障害基礎年金を受給できる可能性があるのです。
この場合は、障害認定日以後に20歳に達した時(障害認定日が20歳以後の時は障害認定日)に、障害等級1級または2級に該当する障害の状態が認められれば、障害基礎年金が受給できます。
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