デリカフHD Research Memo(3):2025年3月期業績は上期苦戦するも下期に挽回、修正計画上回って着地
デリカフーズホールディングスの2025年3月期連結業績は、売上高が前期比11.2%増の58,762百万円と過去最高を記録したが、営業利益は29.0%減の805百万円と減益となり、下期に挽回して通期計画を上回った。上期の収益悪化は天候不順や人件費増加、さらに大阪FSセンター立ち上げの負担のため。下期には価格交渉の進展と野菜市況の安定で急回復した。カット野菜とホール野菜が大きく売上を伸ばし、物流事業や研究開発も好調を維持。有利子負債の減少により財務体質が改善され、自己資本比率は33.9%に上昇。今後は生産性向上と高付加価値事業の育成で収益性改善を目指す。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比11.2%増の58,762百万円、営業利益で同29.0%減の805百万円、経常利益で同29.7%減の884百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同46.5%減の542百万円と増収減益決算となった。売上高は外食需要の回復もあって過去最高を更新したが、天候不順の影響による仕入率の悪化や人件費の増加、2024年4月に稼働開始した大阪FSセンターの立ち上げ負担などで減益となった。上期の収益悪化を受けて、通期の利益計画を下方修正したが、顧客との価格交渉による売価改善が進んだこと、第4四半期には野菜の市況も安定したことで下期は利益も急回復し、半期ベースで見ると利益ベースでも過去最高を更新(売上高で前年同期比11.7%増の30,706百万円、経常利益で同9.0%増の958百万円)した。その結果、売上高、各利益ともに通期修正計画を上回って着地した。
経常利益の増減要因としては、数量増及び価格改定効果により1,484百万円の増益となった一方で、仕入率の悪化(原価率は前期比0.6%ポイント上昇の75.6%)で363百万円、経費の増加で1,480百万円の減益となった。経費増の主な要因として、人員増や処遇向上により人件費が614百万円増となったほか、運賃が326百万円増、支払手数料が107百万円増がある。期末従業員数は、正社員が前期末比47名増の794名、臨時雇用者数が同49名増の2,274名であった。
なお、大阪FSセンターについては、立ち上げ当初に臨時社員の採用で苦戦し募集費が増加したほか派遣会社を利用したことが上期のコスト増要因となった。また、人手不足もあって新設ラインのテスト稼働期間が夏場まで掛かったことも影響したが、下期以降は臨時社員の採用が進み生産性も向上しており、単月ベースで当初予定より前倒しで黒字化している。
(1) 部門別・業界別売上動向
部門別売上高を見ると、カット野菜は前期比4.5%増の25,225百万円、ホール野菜は同15.3%増の23,687百万円、その他(ミールキット含む)は同20.9%増の9,850百万円とすべての部門で増収となり、過去最高を更新した。ホール野菜比率の高い先の取引拡大が複数あった影響でホール野菜は相対的に高い伸びとなったが、注記トレンドとしてカット野菜の旺盛な需要が続いていることに変わりない。その他に含まれるBtoC事業については、ミールキットの主要OEM先の販売減をその他OEM先や「楽彩」ブランドの伸張によりカバーし、ほぼ計画どおりの増収となった。「楽彩」のEC会員は9千人と着実に増加している。業界別売上動向については、構成比で大きな変化がなくほぼすべての業界で売上が拡大したが、伸び率としては給食業界向けが最も高かったようだ。
(2) 事業セグメント別業績
青果物事業の売上高は前期比11.0%増の57,842百万円、セグメント利益(経常利益、以下同じ)は同28.4%減の827百万円となった。インバウンドを中心とした外食需要の拡大や人手不足を背景とするカット野菜の需要の高まりに加え、グループ総合力を生かした提案型営業の強化を図った結果、売上高は計画を上回り過去最高を更新した。利益面では、既述のとおり仕入率の悪化や人件費、物流費の増加、大阪FSセンターの立ち上げ負担などが減益要因となった。
物流事業の売上高は前期比13.8%増の4,896百万円、セグメント利益は同61.9%増の141百万円と過去最高を更新した。売上高はグループ内取引の拡大に加え、外部顧客の獲得が進んだことにより大幅増収となった。外部顧客向けの売上高は同34.5%増の847百万円となり、同事業に占める外部顧客売上比率も前期の14.6%から17.3%に上昇した。既存顧客との取引拡大に加えて、食品スーパーなどの新規顧客を開拓した。同社は物流業界の人手不足を背景とした運賃の上昇リスクに対応すべく、自社物流の強化に取り組んでいる。その中で車両費や人件費等の投資コストを賄うべく空いた車両や時間を活用して受託物流サービスの拡大に取り組んできたが、同戦略が十分に機能しているものと評価される。
研究開発・分析事業の売上高は前期比15.0%減の89百万円、セグメント利益は前期の2百万円から12百万円に増加した。売上高は大手企業からの受託分析案件やコンサルティングサービスが増加したものの、グループ内の研究委託案件が前期比11百万円減の7百万円となったことで減収となった。利益面では、収益性の高い案件を受注したことや人件費を抑制したことにより増益となった。
有利子負債の返済が進み、財務体質が改善
2. 財務状況と経営指標
2025年3月期末の資産合計は前期末比2,207百万円減少の26,640百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産は現金及び預金が532百万円、売掛金が104百万円それぞれ減少したほか、その他の流動資産が減少した。固定資産は、減価償却が進んだことにより有形固定資産が214百万円減少したほか、投資有価証券が94百万円減少した。
負債合計は前期末比2,487百万円減少の17,610百万円となった。買掛金が233百万円増加した一方で借入金の返済を進めたことで有利子負債が3,052百万円減少した。純資産合計は同279百万円増加の9,030百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益542百万円の計上と配当金支出194百万円、自己株式取得61百万円が増減要因となった。
経営指標では、有利子負債の減少によりネットDEレシオが前期末の1.09倍から0.77倍に低下したほか、自己資本比率も30.3%から33.9%に上昇するなど、財務体質の改善が進んだ。同社ではネットDEレシオ1.0倍以下を目安に事業運営を進める方針で、大阪FSセンターの開設により大型の設備投資が一巡したことから、今後は収益の回復によって財務体質もより良化するものと予想される。収益性については、営業利益率で1.4%と低水準が続いているが、今後は生産性の向上や高付加価値な新規事業を育成し、収益性の向上を図る考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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